師走を迎えて

 月刊寺報・一如にも思うところを書かせて頂きましたが、皆様に伝えなければならないことがありますので少々申し上げます。

 まず今般、大島町の妙安寺御住職・高木良延御尊師には、御法主日如上人猊下の御慈命を賜り、広島県呉市の円照寺に転任することとなり、後任として、総本山・奉安堂勤務の盛岡成秀御尊師が妙安寺第5代住職の御慈命を賜り、その座替わり式並びに入院式が12月9日に行われることとなりました。

 高木師におかれましては11年余りに亘り、妙安寺の護持興隆発展に尽力せられ、特に平成25年の大島豪雨の際には、本堂庫裡に三原山からの土石流と流木等がおしよせ、命がけで妙安寺本堂御安置の御本尊様を護られ、更に奥様はじめ2名のお子様をも守られました。高木師の不惜身命の御精神に感服申し上げると共に、その後の寺院復興への御苦労は筆舌に尽くせないものであったことと存じます。しかしながら、〝災い転じて福となす〟との如く、妙安寺御信徒の方々と共に本堂庫裡新築事業を成就され、平成30年12月、御法主日如上人猊下の御下向を賜り、妙安寺災害復興新築落慶法要が奉修されました。

 その間、毎年折伏誓願目標を達成され、特に法華講員八十万人体勢構築の御命題も已に完遂成就せられて有終の美を飾られ、今回の転任を迎えられました。私個人としましても師の転任は非常に寂しい限りでありますが、新任地においても命がけで御本尊様を護り切られた強盛なる御信心によって御活躍されんこととお祈り申し上げ、御報告とさせて頂きます。 

 

 さて今、世の中は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがきかない状況になっておりますが、申すまでもなくその原因が邪宗謗法の害毒はもとより、人々の悪意悪心盛んなることをもって起きるところにありますことは、仏法乃至宗祖日蓮大聖人様が『立正安国論』に説かれている通りであります。

 先般総本山へ登山参詣した際、御法主日如上人猊下は、「今この新型コロナウイルス感染拡大の最中、本年の折伏誓願目標完遂成就に向けてどの支部も非常に苦労しているでしょうが、その低迷の原因はすべて指導教師の信心にあり、またその状況を打開する鍵は『立正安国論』にヒントがある」、「世の中がこのような状況になっているのは、すべてが悪の存在の原因によるものである」、「八十万人体勢構築の御命題は、明年2月16日までに何としてでも必ず達成しなさい」(趣意)と御指南されました。

 私はその御言葉を拝聴して御開扉を受けさせて頂き、新型コロナウイルスの感染拡大を、ただただ邪宗謗法の害毒や世の中の人々の謗法行為や悪意・悪心・悪行に責任転嫁していないか、世間の方々同様に新型コロナウイルスに恐れをなし、日々のメディアの情報に振り回されてはいないか。また、どこか御本尊様への確信が、確固たる大確信に至らず、こうした時局こそ妙法広布への折伏弘教の千載一遇の機会であると思えないでいるのではないか、と思ったところであります。

 そもそも私たち日蓮正宗の僧俗も、仏さまからすれば完全完璧、短所欠点が無く、全く非の打ち所がない信仰者は存在しないでしょうし、全く悪意悪心の無い人はいないでしょう。更に利己的、自己中心的な考えを抱いたり、信心強盛にして他の誰よりも功徳に満ち溢れていると思ったり、我こそは大聖人様の御心のままに信行の実践に励む存在であると思い違いをしていると、福徳増進しようにも自分自身の罪障乃至宿業に屈したり、自ら身を滅ぼすことになりかねません。また、自らの身・口・意の三業において、例えば、第三者のくだらないうわさ話、デマカセや未確認の事柄、他人の失敗など、さらにそれらに尾ひれはヒレをつけて、周囲の方々に言わなくてもいいことを後先考えずに言ったり、吹聴したりしてはいないか。仮に悪意はないにせよ、しなくてもよいことをしてはいないか。たとえ熱心に信行の実践に励んでいても、こうした言動や行為が少しでもあったならば、それによって気分を害する方の存在があったならば、それが福徳増進の大きな妨げとあり、功徳利益を積むどころか悪業を積み累ねる要因になってしまいます。ですから、私たち日蓮正宗の僧俗もただその流類として属しているだけで、完全な善の用きとはならず、悪の用きにもなりかねません。

 とにかく今、大事なことは自分自身が福徳増進していく為には、まず我が身をしっかりと省み、何をしていけばよいのか。何に気を付けたらよいのかをよくよく考え、それをしっかりと実践行動に移すことが肝要であります。よって、妙眞寺僧俗一同には、今月12月は「福徳増進の月」、明年の年間方針は宗門として「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の年」でありますが、妙眞寺僧俗一同においては更に妙眞寺の年間方針として「福徳増進の年」と銘打って、一人ひとりがその意とするところをお汲み頂きたく、心より念願いたします。

 そして最後に、本年「妙眞寺創立88年」の佳節に当たり、昨年末までに、御宝前においては宗祖日蓮大聖人様・第二祖日興上人様の御厨子の台を、以前よりも少々高く幅も広い台へと新調し、両御影様の脇にそれぞれ一対ずつ灯籠を新調し、更に山門幕と提灯を新調して当佳節をお迎えいたしました。そうしたなかで、かねてより「本堂空調設備の新調を」との声が御信徒方から上がっており、今回の佳節に本堂空調設備の新調工事の実施を決め、大変大がかりな工事になりましたが無事御会式前に設置完了しました。また、本年度の御会式を迎えるに当たり、住職親族や家内によって、本堂廊下、水屋のカーテン設置、受付の壁紙貼付とフローリングの新調、本堂客間・庫裡全ての障子の張替作業、庫裏玄関の修繕等を行い、本年度御会式法要を迎えることができました。

 また、私たち住職・寺族が総本山よりお借りし住まわせて頂いている庫裡において経年劣化著しい箇所が多々あり、庫裡については、私たち住職・寺族が負担して修繕すべきことは当然でありますが、修繕資金に限度があるため少しずつ修繕していたところ、今回、遠霑寺御住職・浦上然道御尊師御夫妻の発願と御供養によって、錆び付いた庫裡二階ベランダ鉄骨の撤去作業を行なわせて頂きました。現在は壮年部2名の方々の御尽力により、その後の修繕作業を行って頂いております。また、家内の志により、庫裏玄関のガラス戸の扉を安全な扉へと新調する旨申し出がありましたので、年末までにその工事が行われる予定となっております。

 平成22年7月、妙眞寺が宗門に復帰し私が住職として赴任して以来10年が経過し、不法占拠され失われた30年を取り戻すべく、皆様には今日に至るまで多大なる赤誠の御供養により妙眞寺の荘厳修繕に御尽力頂き、現在創立百周年の記念事業として「妙眞寺新築」を計画しているところではありますが、やはり宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節を目前に控え、その特別御供養の勧募もございますが、些少なりとも赤誠の志を賜り、具体的には御会式法要の際に使用する六老僧席の経机と椅子の新調と、本堂・客間の畳も前回畳替えして以来10年が経過しておりますので、出来れば今回本堂だけでも畳替えを実施できればと考えておりますので、どうか御理解御尽力のほど伏してお願い申し上げます。