指導教師指導②

 みなさんこんにちは。今司会の方から御紹介ありましたように私は、東京都目黒区にある妙眞寺というお寺の住職をしている平山信憲といいます。

 みなさんは、自分が通っているお寺の名前と御住職様のお名前を言えますか?
 もし知らなかったら、お父さんやお母さんに教えてもらって覚えて下さい。

 さて、今日は「よごれたごちそう」という話をします。

 むかしインドのあるところに、大きな土地を持ったお金持ちの長者がいました。この土地には、いろいろな食べ物が作られ、しゅうかくの時期になると大勢の人が働きにきました。そして、毎年しゅうかくが終わるころになると、長者は最高のごちそうを、働いてくれた人達にふるまってあげました。働いた人達はお給料とは別に、長者が心のこもったお料理をふるまってくれることが楽しみでした。中でも、最高のお肉と野菜を使ったシチューは一番の人気でした。

 その年もシチューを作る料理人は、庭先で朝早くから時間をかけてお肉と野菜を煮込み、ゆっくりやわらかく煮込んだシチューはおいしそうな香りがして、料理人も今日のシチューは最高の出来だと思いました。
そう思っていた時、空を飛んでいたトンビがくるりとまわったらとたん、糞をしました。そして、その糞がなんと偶然にも、おいしいシチューが料理中の大なべに、ポチャンと入ってしまいました。料理人はあわてて、これをすくい取ろうとしましたが、どれが糞やら肉やら見分けがつきません。まして熱い汁の中で、糞はすぐにとけてしまいました。
 料理人が、あたりを見まわすと、誰も気づいた様子はありませんでした。「困ったことになった。これから作り直すにも、材料も時間もない。これだけの量のシチューだったら、少し糞が入っても味もかわらないだろう。みんなには悪いけど、今年はこれを召し上がって頂くしかない」と、料理人は、うしろめたい気持ちになりながらも、知らんふりをすることにしました。良いことも悪いことも、かくしごとはいけないし、正直が一番であることは、料理人もわかっていたつもりでしたから、他の料理人と一緒に、テーブルにできたての料理をならべる時も、おろおろどきどきしていました。

 そして、パンやお肉やお魚や野菜、料理人が作ったシチューと、お酒やくだものがテーブルに並べられ、長者がテーブルの真ん中に座り、みんなに、「今年も皆さん、よく働いてくれました。おかげで今年はいつもより豊作でした。皆さんありがとう。えんりょなく食べて下さい」と、挨拶しました。まず長者がおいしそうにシチューを食べた時、思わず料理人は目をそらしてしまいましたが、長者は「このシチューはおいしい」と言い、他の人達も「本当だ。このシチューが一番おいしい」とほめました。
 料理人は、穴があったら入りたい気持ちで、おかわりをついでまわりました。ひと段落した頃、長者が料理人たちに、「今日はおいしい料理を作ってくれてありがとう。あなたたちも食べなさい」と声をかけました。料理人たちは、「ありがとうございます。いただきます」と言って、席につき、料理を食べ始めました。
 その中で、シチューを作った料理人だけは、お皿につがれたシチューを、一息に目をつむって飲み込みました。まさか、自分もこの料理を食べることになるとは思っていなかったのです。
 「おいしい、おいしい」と言ってシチューを食べていた人たちのことを、料理人はどんな思いでいたのでしょう?

 さて、このお話にはこんな意味があります。
 1番目に、世の中のひとたちは、本当はきたないものをきたないものと思わない、気づかないということ。正しいものと間違ったものを理解できないで生活しているということです。ですから、間違った仏様や宗教を信じると、良いことがおきるどころか、逆に不幸な生活になってしまいます。そして、糞が入ってとけてしまったシチューは、ふつうのシチューと見た目はそっくりで、似ているから、なかなかわかりません。だから、糞の入った料理を食べたひとたちも、すっかりだまされて、「おいしい、おいしい」と言って食べたように、世の中でも正しいものを理解することが本当に難しいということです。そして、悪いものと区別することができないから、だまされてしまいます。今、世の中では「オレオレさぎ」や「振り込めサギ」という事件がたくさんおこり、多くの人たちがお金をだまし取られる事件がおきています。ですから、普段から正しいことと間違ったことを見抜く力が、私たちには必要です。

 2番目に、トンビの糞が入ったシチューを料理人も食べることになりました。これは、因果応報といって、自分が行ったことは、必ず自分に報いとして返ってくる、ということです。ですから、みなさんは正しいことを行えば良いことが返ってくる。逆に悪いことをしたら、かならず悪いことが自分に返ってくる、ということを知りましょう。

 最後に、シチューにトンビの糞が入っていると知っている人は、「おいしい」と言って、そのシチューを食べることはしませんね。同じように、赤信号では道路をわたってはいけない、ということを知らない人は、道路をわたって車にはねられてしまうかもしれません。そして、世の中でも、うらないや神社や他の間違った宗教を信じていると、イヤなことや悪いことがおきる、ということを知らない人がほとんどです。それは、糞が入っていると知らないで、「おいしい」と思ってシチューを食べている人と同じことです。
 ですから、皆さんのまわりに困ったり悩んだりしているお友達がいたら、「南無妙法蓮華経」を唱えると幸せになれるよ、と教えてあげましょう。また、たとえ困っていなくても、正しい仏様の教えを信じると初めて本当の幸せになれるんだよ、と教えてあげましょう。
 そして、朝晩の勤行をお父さんやお母さんをはじめ、家族の人たちと一緒に行い、何でも正直になること、思いやりの心をもち、すべての友達に優しくすることを心がけましょう。皆さん、わかりましたでしょうか。
 
 最後に、少年部員の親御様、付き添いの方々には、連休最終日にもかかわらず、少年部広布推進会への御参加、誠に御苦労様でございます。御自身のお子様、少年部員は未来広布を担う人材として支部の宝であり、また小さいうちから信心の大切さ、こうした広布推進会への参加や、8月に行われる全国少年部合宿登山には、進んで御参加頂き、信心を中心にした生活の大事をしっかりと教えて頂きたく存じます。
 また、毎年少年部合宿登山の折に、総本山にて御法主日如上人猊下御臨席のもと、全国鼓笛隊コンクールが行われます。東京第二地方部においては、現在30名余りの陣容であります。どうか、法統相続の一助として、より多くのお子様に、信心を根本にした鼓笛隊活動への御参加御尽力をお願い申し上げまして、本日の話とさせて頂きます。