少欲知足(しょうよくちそく) (平成28年4月)

今日は欲ばりをいましめた二つのお話です。
1つ目はインドに王舎城を築いたビンビサーラ王の果樹園の話です。

 

ビンビサーラ王は仏教への信仰心があつく、仏教をもととした立派な政治をしていましたので、国民からとても信頼されていました。

王さまは、お米や果物がとれた時、まずお釈迦さまやそのお弟子さんに御供養してから自分が食べるようにしていました。

 

ある日、1人の大臣が
「王さま、これはわが家の庭でとれた初物のマンゴーです。どうぞめしあがって下さい」と持ってきました。

王さまは、
「そうか、ではまずお釈迦さまにお届けしなさい。私はそのあとでいただきましょう」と言いました。

大臣は
「はい、お釈迦さまには、王さまがいつもそうなされていますので、先にお届けしました」と言いました。

「そうか、それはよく気がついた。ではいただくことにしよう」と言って、マンゴーの実をおいしそうに食べながら大臣に言いました。

「ところでお城の千樹果林をお釈迦さまに御供養しようと思うけど大臣はどう思うかね?」とたずねました。

「はい、たいへん素晴らしいことと思います。そうすれば、お釈迦さまやお弟子さん方に、いつでもあのおいしい果物を食べていただくことができますでしょう」と大臣は言いました。

 

千樹果林とは、千人の人がその果樹園で食べても余るほど、いろんな果物がたくさんなっている果樹園で、とくにおいしいマンゴーの実がとれるところでした。

その後、王さまの言葉通り、果樹園はお釈迦さまに御供養されました。
僧侶たちはとても喜び、おいしい果物で修行の疲れをいやしました。

 

ところがひまをみては果樹園にきてその実を食べ、そこから離れようとしない僧侶もいて、いつしか広い果樹園の実は、みんな食べつくされてしまいました。

ちょうどそのころ、となりの国の王さまが、その千樹果林のうわさを聞いて、ぜひ食べてみたいとビンビサーラ王のもとに使者をよこしました。

王さまは
「せっかくですが、その千樹果林はお釈迦さまや、そのお弟子さん方に御供養いたしましたので、そちらの方に言って下さい」と言って、僧侶のいる竹林精舎へその使者を案内させました。

ところがその果樹園に行ってみると、実が1つもありません。
びっくりして、どうしたことかと聞いてみると、修行僧たちが全部食べてしまったのだと言うのです。

 

この話を聞いて、人々は
「尊い僧侶でさえ、おいしいものは食べたいのだから、日頃お釈迦さまが、『おいしいものを欲しがってはいけません』と言っても、それは無理な話だよ」とささやきました。

 

この話を聞いたお釈迦さまは、僧侶たちを集めて、
「今後はものに感謝する心、少なくともがまんする心をもたなければ、果物を食べてはいけません。果物がおいしいからといって、ひとりじめにして食べようとするのは罪になります」とさとしました。

 

僧侶たちは心から反省して、それからは食べ物に感謝し、みんなで分け合い、少なくてもがまんして食べたとのことです。

 

 

次は、お釈迦さまとバラモン(インドの民族宗教の僧侶)たちのお話です。

ある時、お釈迦さまは弟子とともに、バイシャリーという町に行きました。 
この町の人々は、お釈迦さまを知りませんでしたので、どういう人かと興味をもっていました。

ところが、お釈迦さまのことを良く思わないバラモンたちは、
「いま、この町に来ている釈迦はとても欲ばりで、その弟子たちも、なんでも持って帰るそうだ」と、お釈迦さまや僧侶たちの悪口をいいました。

 

この話を聞いていた1人のお金持ちの長者が、
「そのうわさが本当かどうか、私が確かめてみましょう。みなさん、私にまかせて下さい」と町の人々に言いました。

 

長者はお釈迦さまのもとへ行きお説法を聞いたあと、お釈迦さまに向かって手を合わせ、
「お釈迦さま、御供養の食事をさし上げたいので、どうか明日、お弟子さんとともにわが家へおいで下さい」とお願いしました。

お釈迦さまはだまってうなづきました。

長者は家に帰ると、金・銀・水晶など高価な食器をそろえさせました。

 

当日の朝、長者は上等の料理を用意させて、お釈迦さまたちを迎えました。

長者は、召し使いに命じて、高価な食器にもられた料理をさしだしましたが、お釈迦さまはその食器を受け取りません。

弟子たちもお釈迦さまにならって、誰も受け取りません。

これを見て長者は、今度は自ら普段使っている食器に料理をもって、お釈迦さまにさしだしました。

お釈迦さまは、今度は礼儀正しく弟子たちとともに料理をいただき、食べ終わると口をすすぎ、長者のためにお説法をして帰っていきました。

長者はその礼儀正しさに感心しました。

 

今度はバラモンの僧侶たちを招いて同じように高価な食器に料理をもってさしだしました。

するとバラモンの僧侶たちは、礼儀作法もてきとうで、食事が終わると彼らは高価な食器を「長者からもらったものだ」と言って、持ちかえろうとしました。

バラモンたちはみな門番につかまり、門前で人だかりができるほどのさわぎになりました。

 

そこへ長者がきて、
「どちらが欲深いか皆さんよく分かったでしょう。お釈迦さま方は、礼儀正しく僧侶として分相応のものを望まれました。そして、みな少欲知足(欲が少なく、少しのもので足りることを知る)の心をもたれていました」と言いました。

そして、このことがきっかけとなって、バイシャリーの町の人々は、お釈迦さまの教えを信じるようになりました。

この町の人々にお釈迦さまは、
「欲をすて分相応の生活をし、身をつつしむことが人々からの信用を生みます。お金や金・銀等の財宝にとらわれて、ぜいたくをのぞみ、欲ばりになってはいけません」と話したのでした。

 

 

毎日、困ることなくそれなりの生活ができれば充分なのに、常にあれが欲しいこれが欲しいと、常に満ち足りない心でいると、自分自身の生活をこわしてしまい、お父さんやお母さんを困らせてしまいます。

大事なことは、本当に必要なものをもとめ、心が豊かになることです。

そして今、皆さんが毎日、学校に通い食事をすることができるのは、お父さんやお母さんのおかげです。

ですから、感謝の心を忘れずお手伝いしていきましょうね。