御報恩御講(令和6年1月)

 令和六年一月度 御報恩御講

 『経王殿御返事(きょうおうどのごへんじ)』  文永十年八月十五日   五十二歳

 日蓮がたましひ(魂)をすみ(墨)にそめながしてかきて候ぞ(そうろう)、信(しん)じさせ給(たま)へ。仏の(ほとけ)御(み)意(こころ)は法華経(ほけきょう)なり。日蓮がたましひは南無妙法蓮華経にすぎたるはなし。妙楽(みょうらく)云(い)はく「顕本遠寿(けんぽんおんじゅ)を以(もっ)て其(そ)の命と(いのち)為(な)す」と釈し(しゃく)給(たま)ふ。経王御前(きょうおうごぜん)にはわざはひも転(てん)じて幸ひ(さいわ)となるべし。あひかまへて御(ご)信心(しんじん)を出(い)だし此(こ)の御(ご)本尊(ほんぞん)に祈(き)念(ねん)せしめ給(たま)へ。何(なに)事(ごと)か成就せ(じょうじゅ)ざるべき。「充満其願(じゅうまんごがん)、如清涼池(にょしょうりょうち)」「現(げん)世(ぜ)安穏(あんのん)、後生善処(ごしょうぜんしょ)」疑(うたが)ひなからん。
(御書六八五㌻一四行目~六八六㌻一行目)

【通釈】日蓮が魂を墨に染め流して認めた御本尊である。よくよく信じなさい。仏(釈尊)の本意は法華経である。日蓮の魂は南無妙法蓮華経に過ぎるものではない。妙楽大師は「(法華経は)顕本遠寿を明かすことを命とする」と釈している。経王御前には、災いも転じて幸いとなるであろう。信心を奮い起こしてこの御本尊に祈念しなさい。何事も必ず成就するのである。「充満其願、如清涼池」「現世安穏、後生善処」との経文は疑いないものである。

□住職より

 令和六年の新年初御講に当たり、皆様には決意新たに清々しく新春を迎えられたことと存じ上げます。そして、いよいよ十年後に迫った令和十五年・妙眞寺創立百周年の大佳節への道が始まりました。しかしながら、巷では元日早々、能登半島大地震が勃発して多くの方々が被災され、翌二日には羽田空港において飛行機の衝突事故が起き、搭乗していた方々はもとより、空路陸路にて帰京するUターンラッシュの方々にも、多大なる影響を及ぼしたようであります。これも偏に数年来未曽有のコロナ禍をはじめとする災禍によって、著しい人心荒廃の姿が依正不二の原理によって、このような悲惨極まりない現証として顕れたことと拝するものであります。そして、こうした惨憺たる幕開けとなった、本年「折伏前進の年」、私たちはより一層精進の誠を尽くして、我が国の平和安穏と、より多くの方々の幸福を祈り、実現すべき年であると鑑み、自行化他の信心に深く住して頂きたく存じます。
 本年は新たに寺院参詣ノートを作成し、皆様の信行の実践の記録を目に見える形で記し、毎月末には、その一ヶ月を顧みて頂くことができるように致しました。どうか、お一人お一人が御活用され、毎日の勤行・唱題、寺院参詣に下種・折伏にと、しっかりと意識して行ずることができるように心して頂きたいと念願いたします。また、毎月の寺院行事、広布推進会をはじめ、三回にわたる妙眞寺檀信徒総登山、各講習会登山、少年部登山、中等・高等・学生部登山の日程に合わせ、毎週毎月、一年の予定を組んで頂きたいと思います。
 また、しっかりと誓願を立てて、その成就に向かってより一層唱題行に徹して頂き、大聖人様が、「されば法華経の行者の祈る祈りは、響の音に応ずるがごとし。影の体にそえるがごとし。すめる水に月のうつるがごとし。方諸の水をまねくがごとし。磁石の鉄をすうがごとし。琥珀の塵をとるがごとし。あきらかなる鏡の物の色をうかぶるがごとし」と、また「何なる世の乱れにも、各々をば法華経・十羅刹助け給へと、湿れる木より火を出だし、乾ける土より水を儲けんが如く強盛に申すなり」との御教示を深く身に体して頂き、不可思議偉大なる御本尊様からの御仏智を給わることができるように、さらにまた「いかに日蓮いのり申すとも、不信ならば、ぬれたるほくちに火をうちかくるがごとくなるべし。はげみをなして強盛に信力をいだし給ふべし。すぎし存命不思議とおもはせ給へ。なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給ふべし。「諸余怨敵皆悉摧滅」の金言むなしかるべからず。兵法剣形の大事も此の妙法より出でたり。ふかく信心をとり給へ。あへて臆病にては叶ふべからず候」と、大聖人様からお叱りを受けるような不信心な姿がないように、ただ只管一天四海妙法広布へ向けた強盛なる信心に徹して頂きたいと願います。
 当然のことながら、今後の日本乃至全世界の恒久平和と、世の中全ての人々の安穏なる日々を構築至らしめることは、この末法唯一無二の宗祖日蓮大聖人様の御教えと、その教えを信じ行ずる私たち令和の法華講衆の、折伏逆化の行業にしか実現できない大慈悲行であり、どんなに立派な聖人君子と言われるような人であっても、全世界あらゆる人々の一生成仏の境界の確立も、幸福なる人生を有意義に送ることも、ありとあらゆる諸難困難を排除することも、決して叶えることはできません。
 よって新年から大惨事を目の当たりにした今こそ、上求菩提下化衆生の志高くして、数多くいるでしょう親類縁者、友人知人、隣人にいたるまで、その中の一人乃至それ以上の方を、この妙法に導き誘う使命と責務が私たちにあることを感じて頂き、決して他人事とは思わず、いよいよ万事を閣いて眦を決し、その意とするところを拝して頂きたく存じます。そして、まずは御自身が崇高なる境界に至る為にも、その尊い「浄心信敬」なる御境界をもって、有意義なる日々をお過ごし頂き、その功徳利益をもって、それぞれの誓願を成就できるよう精進して参りましょう。