生命を大切に~自殺を考える~
年間三万人を超える自殺者がいる日本。一日に平均すると約百人近くの人が自ら命を断っているのです。
このことは世界の中でも、中国・インド・ロシアについでアメリカと日本が自殺の多い国です。自殺大国日本でもあるのです。
何故、こんなに経済が発展し食物が豊富にあるのに、自殺者が減らないのでしょうか。
毎日毎日、新聞やテレビで報道される殺人事件に加え、テレビドラマなどで放映される残虐な殺人シーンなどで殺される架空の死者の数は一週間で六〇〇人にのぼるそうです。
これらの状況も大きな要因となり、現代日本人は、死に対する感覚が麻痺し、他人の死に無関心になり、結果、自らの命に対しても無関心となっているのかもしれません。
しかし、改めて「どうして、死んではいけないのですか?」と聞かれて、明確な答えが出せる人が果たしてどれだけいるでしょう。
私達の命は、決して自分一人のものではありません。
仏教では「四恩」と言って、①父母の恩、②一切衆生の恩、③国(主)の恩、④三宝(仏・法・僧)の恩を説きますが、“自殺”とは、これら四恩を捨て去る身勝手な行為と言えるでしょう。
例えば、一切衆生の恩。私達が今こうして生きている、その命を支える為に、どれだけ多くの生き物たちが、その身を与えてくれたのか、私の為に死んでくれたのか、に思いを馳せてみて下さい。牛であれ、豚や魚であれ、皆大切な命を持ち、家族の中で生きていたはずです。その命と身体を頂いて、私達はここに居る。
「私が直接殺したのではない」とは言えません。現に食べているのは私なのですから。そして、その無数の生き物たちの魂を私達は背負っているのです。「すみません、ありがとう、君らの分まで存分に生きます」というのが仏教者の姿だと思うのです。
日蓮大聖人様は「命と申す物は一(いっ)身(しん)第一の珍宝なり。一日なりともこれをの(延)ぶるならば千万両の金(こがね)にもすぎたり」(御書七六一㌻)と仰せです。命は何物にも代え難い尊いものです。たった一日でも命を長らえることができるのなら、それは千万両のお金にも過ぎると。
この尊さを実感する為に、仏教がある、とも言えます。日蓮大聖人の御本尊様に南無妙法蓮華経とお題目を唱えていく時、私達は生きる勇気と強い生命力、そして仏様の智慧を頂くことが出来るのです。私達の国に、社会に、正しい法が弘まれば、必ず自殺者の数は大幅に減少すると信じて止みません。
お近くの日蓮正宗寺院を尋ねてみて下さい。