立宗七百六十九年の佳き日を迎えて

 大型連休初日を迎えた4月29日、当妙眞寺では午後2時より、緊急事態宣言発令下と春雨のなか、妙眞寺檀信徒の皆様の深信なる御参詣を賜り、宗祖日蓮大聖人宗旨建立会(立宗会)を奉修申し上げた次第であります。そうしたなか、東京都では新型コロナウイルス新規感染者が1027名となり、3か月ぶりに1000人を越える事態となりました。

 東京都においては4月25日より緊急事態宣言が発令され、小池都知事は特に連休中、都境を越境しないよう要請されていたにもかかわらず、東京都内から他県の大型商業施設や、都内では営業休止となっている施設を他県に求め、多くの都民が大移動しているニュースが放映されておりました。更に、この期間を利用して旅行へ行く方々なども多々いるようで、もはや政府の緊急事態宣言も「机上の空論」になりつつあります。当然、東京都民の大半の方々が自粛生活を続けられ、不要不急の外出は避けられていることと存じますが、一部のこうした自粛要請を悉く無視しし、モラルに反する行動をとられる方々には憤りを越え、寧ろ憐れみを感じるところであります。更に、本来決してあってはならない医療従事者に対する差別発言や差別行動、コロナ禍による子供たちの精神衛生上の問題も深刻化してきており、この国の現状を非常に危惧するところであります。

 こうした疫病の災禍は、もともと愚癡の衆生が原因となって起きるところの災いであります。宗祖日蓮大聖人様は『御義口伝(おんぎくでん)』に、「されば文句(もんぐ)の四に云はく「相とは四濁(しじょく)増劇(ぞうぎゃく)にして此の時に聚在(じゆざい)せり。瞋恚(しんに)増劇(ぞうぎゃく)にして刀兵(とうびょう)起こり、貪欲(とんよく)増劇にして飢餓(きが)起こり、愚癡(ぐち)増劇にして疾疫(しつえき)起こり、三災(さんさい)起こるが故に煩悩倍(ますます)隆(さか)んにして諸見転(うたた)熾(さか)んなり」と」と仰せになられております。すなわち『観心本尊抄』の「瞋るは地獄、貧るは餓鬼、癡かは畜生」と御教示のように、最早、畜生道に堕した世の中の人々が、癡かな行為の限りを尽くして愚癡迷妄の衆生と化し、ますます煩悩盛んなることによって、疫病の災禍がこれからより一層その勢いを増してくることは間違いありません。

 最近、新型コロナウイルスに感染された方の闘病記を拝しましたが、闘病中に、「もう自分はこのまま死んでいくのか」、「まさかコロナがこんなに苦しいものだったのか」という新型コロナウイルスに感染し発症した時の状況と共に、「後遺症が非常に辛いこと」、「まさか自分が感染するとは思いもしなかった」、「ただの風邪の重い症状であると思っていた」、「若さを過信していた」との後悔の念を述べられていました。更に現在は、若年層でも重症化しやすく、ワクチン接種をしても感染発症する特徴を持った変異株の感染増加など、新型コロナウイルスは世の中の人々をあざ笑うかのように、その猛威を増しております。どうか、少なくとも世の中の方々1人ひとりが自覚と責任をもって、予防すべき措置をとり、守るべきことを守り、寝る間も割いて感染者の治療に当たられている医療従事者の方々への畏敬の念を持って頂きたく願います。

 そして、建長5年4月28日に立宗宣言遊ばされて以来、疫病や自然災害はもとより度重なる数々の法難を乗り越えられ、ただ偏に一天四海妙法広布を願われ、大法弘通に尽くされてきた末法の御本仏・宗祖日蓮大聖人様をはじめ、その伝統法義を護ってこられた時の御法主上人や、熱原三烈士をはじめとする、ありとあらゆる先師先達方に対する報恩感謝の念を持ち、今こそ世情の浄化矯正の為にも、コロナ禍の終息の為にも、いよいよ日蓮正宗僧俗が挙宗一致異体同心して、弛まざる信行の実践に励むべき時を迎えております。

 そして、私たち妙眞寺檀信徒の皆さまにおかれましても、他寺院檀信徒の皆様の御精進の姿に遅れをとることなく、本年も必ず折伏誓願目標は最低でも完遂成就し、1人でも多くの方々がこの正法正義に帰依せられ、現在のコロナ禍における不安や苦悩と不幸を打ち破り、明るく前向きに喜び溢れる日々を送ることができるよう、そして真の幸福なる人生を構築することができるよう、信心の上からコロナ禍に恐れおののき、信心まで自粛することのないよう、出来る限りの信行の実践に励み、互いにコロナ禍を乗り越えて参りましょう。そして、このコロナ禍を打破すべく、不可思議偉大にして広大無辺なる仏さまの有り難き御仏意と、諸天の尊い御加護を必ず賜ることを固く信じ、その来たるべき日を1日も早く迎えることができるよう、共々精進して参ろうではありませんか。