一如 令和3年5月号
住 職 よ り
先月二十五日(日)より今月十一日(火)まで、東京都におきまして、三度目の緊急事態宣言が発令され、妙眞寺檀信徒の皆さまにおかれましては、様々な思いに駆られていると存じ上げます。大聖人様は、『松野殿御返事』に、「世の中ものうからん時も今生の苦さへかなしし。況してや来世の苦をやと思し食しても南無妙法蓮華経と唱へ、悦ばしからん時も今生の悦びは夢の中の夢、霊山浄土の悦びこそ実の悦ひなれと思し食し合はせて又南無妙法蓮華経と唱へ、退転なく修行して最後臨終の時を待って御覧ぜよ」と仰せになられております。
世の中が現在このような状況になっている中、今一度御自身の信心を省みることも肝要であります。果たして現在の信行の実践によって、罪障消滅・福徳増進できているか否か、大聖人様の御聖意に則った信心姿勢であるかどうか。私たちは信心の鏡として、かの熱原三烈士の不惜身命の精神のもと、信心を根本にした毎日を送れているでしょうか。
熱原三烈士は弘安元年に入信しましたが、破戒僧、滝泉寺・行智や平左衛門尉頼綱の謀略によって捕らえられ、特に、入信間もない三烈士は、蟇目(ひきめ)の矢による拷問(ごうもん)を受け「法華経を捨てて念仏を称えよ」との威嚇にも屈せず、お題目を唱え続け、弘安二年十月十五日に殉教されてしまいます。
この熱原法難が惹起(じやつき)した約一ヶ月後の、弘安(こうあん)二年十一月六日、大聖人様は南条時光殿に対し「願はくは我が弟子等、大願ををこせ。去年(こそ)去々年(おととし)のやくびゃうに死にし人々のかずにも入らず、又当時蒙古(もうこ)のせめにまぬかるべしともみへず。とにかくに死は一定なり。其の時のなげきはたうじのごとし。をなじくはかりにも法華経のゆへに命をすてよ。つゆを大海にあつらへ、ちりを大地にうづむとをもへ。法華経の第三に云はく「願はくは此の功徳を以て普(あまね)く一切に及ぼし、我等と衆生と皆共に仏道を成ぜん」云云」と仰せになられています。
大聖人様御在世当時も国内に疫病が蔓延し、更に『元寇(げんこう)』という蒙古国の侵略によって、いつ我が命が絶たれるかわからない状況下のなかで、「人は必ず臨終を免れないのであるからこそ、熱原三烈士の如く法の為に命を差し出す覚悟をもって、今こそ大願を起こしなさい」と奨励されております。令和の法華講衆たる私たちも、疫病の大災禍を迎えている今、一つの大願を立てその成就に向かって、身命を賭(と)して精進の誠を尽くして参ろうではありませんか。
御法主日如上人猊下御言葉
既に、皆様も御承知の通り、昨今の国内外の状況を見ますと、新型コロナウイルス感染症によって、国内のみならず世界的に混沌とした様相を呈しており、この先の不安を感じている方々も少なくないと思います。 しかし我々は、こうした混迷する現状を見て、改めて『立正安国論』の御聖意(ごしようい)を拝し、この窮状(きゆうじよう)を根本的に救えるのは、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の三大秘法の仏法以外にはないことをよくよく知るべきであります。
大聖人様は『立正安国論』に、世の中が混乱する原因について、「倩(つらつら)微管(びかん)を傾け聊(いささか)経文を披(ひら)きたるに、世(よ)皆(みな)正(しよう)に背き人悉(ことごと)く悪に帰す。故に善神国を捨てゝ相(あい)去り、聖人所を辞して還(かえ)らず。是(ここ)を以て魔来たり鬼(き)来たり、災起こり難起こる。言はずんばあるべからず。恐れずんばあるべからず」と仰せられています。
すなわち、世の中の混乱と不幸と苦悩の原因は、ひとえに「世皆正に背き人悉く悪に帰す」故であると仰せでありますが、その「正(しよう)」とは三箇(さんか)の秘法、つまり本門の本尊・本門の戒壇・本門の題目の三大秘法の正法を指し、「悪」とは邪義邪宗の謗法を指すのであります。したがって、この邪義邪宗の謗法を断ち、すなわち不幸と混乱の原因である謗法を対治しなければ、一人ひとりの幸せはもとより、国土の安穏も、世界の平和も実現することはできないのであります。
故に『立正安国論』には、「早く天下の静謐(せいひつ)を思はゞ須(すべから)く国中(こくちゆう)の謗法を断つべし」と仰せられているのであります。
さらに『法華初心成仏抄』には、「とてもかくても法華経を強(し)ひて説ききかすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓(どつく)の縁となって仏になるべきなり。何にとしても仏の種は法華経より外(ほか)になきなり」と仰せであります。
「毒鼓の縁」とは、既に皆様もよく御承知のように毒を塗った太鼓のことで、この太鼓を打つと、その音を聞いた者すべてが死ぬという話であります。
すなわち、謗法の衆生に法華経を説き聞かせることは、法華経に縁することになり、成仏の因となることで、逆縁とも言います。つまり、一切衆生には皆、仏性が具わっており、正しい法を聞き、発心・修行することによって成仏することができるのでありますが、末法の今時では順縁の衆生はもとより逆縁の衆生であっても、三大秘法の南無妙法蓮華経を聞かせることによって正法と縁を結ぶばせ、将来、必ず救済できるわけであります。
四月度 広布唱題会の砌 令和三年四月四日 於 総本山客殿
妙 眞 寺 よ り お 知 ら せ
★二日(日)は午前九時より広布唱題会、引き続き永代御経日を行い、終了後、寺院清掃を行って頂きますので、何卒宜しくお願いします。
★八日(土)午後七時、九日(日)午後二時から、宗祖日蓮大聖人御報恩御講を行います。また、九日(日)午後一時より、若葉会御講を行います。
★十二日(水)午後六時四十五分より、新宿・大願寺において、五月度広布推進会が開催されます。三名の参加割当となっております。なお、六月度広布推進会は六月九日(水)午後六時四十五分より、新宿・大願寺にて開催され、同じく三名の参加割当となっております。
★下記の通り、二十三日(日)、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝記念・第一回妙眞寺団体添書登山を行う予定です。しかし、新型コロナウイルスの感染状況によっては、再度中止とする場合もあります。
★本年も広布唱題行を行っておりますが、現在、緊急時短宣言が発令されております。東京都より、午後八時に、道路側の寺号照明ほか、全ての照明を落とすよう指示されておりますので、引き続き火・水・金曜日の午前十一時からの週三回といたします。その他、妙眞寺は朝勤行から夕勤行終了後まで、毎日開門しておりますので、日中は御自由に御参詣下さい。