明るい未来に向かって(令和2年10月)

 世の中は今、新型コロナウイルス感染拡大予防(かんせんかくだいよぼう)のため、学校での生活も変わり、中高生は部活動の大会が中止となったり、無観客で開催される、ということが多くなりました。また、本年度の全国鼓笛隊コンクールも中止となり、鼓笛隊練習も再開の目途(めど)が立っておりません。部活や鼓笛隊も、最後の大会がなくなってしまったという人がいると思います。本人はもちろんのこと、頑張(がんば)る皆さんを応援できなかった御両親やお友達も、さぞかし残念な思いをされたことでしょう。

 プロサッカーやプロ野球、大相撲などでは、一時無観客(むかんきやく)で行われていた時期もあります。ファンの声援(せいえん)があふれる試合と打って変わって、鳥のさえずりも聞こえるほど静かな試合では、実力を発揮できない選手も沢山(たくさん)いたことでしょう。今、様々な競技の選手たちは、応援の力の有り難さを実感していると思います。

 皆さんは、誰かを応援するとき、なんと言って声をかけますか?『一秒の言葉』という詩に、「『がんばって』この一秒ほどの短い言葉で勇気がよみがえってくることがある」とあります。「がんばれ!」、「負けないで!」、日本人であるわたしたちは、この言葉がどれだけ勇気を与える言葉であるかは、声をかけてもらった皆さんが一番感じているこだと思います。

 

 『現代学生百人一首(ひやくにんいつしゆ)』の入選作品に、「先生が ニコっとして言う『がんばるな』私の中で 『がんばれ』になる」(北海道の女子高生の作品)、「『頑張って』 背中に掛かるその言葉 時に重荷(おもに)に時に翼に」(東京都の女子高生の作品)、というものがあります。自分のことを応援してくれる人たちがいることは、とても幸せなことです。両親、家族、友人、先生など、私たちはたくさんの人に支えられています。私たちは、自分1人の力で一生を生きていくことはなかなかできません。たくさんの人に支えられて、今日(こんにち)、そして未来に向かって生きていくことでしょう。そして、私たちは誰かの支えでもあります。「頑張って」、「負けないで」と声援を送りあい、お互い支え合い励まし合って成長していきます。

 また、「頑張る」には理由が必要です。理由もないのに頑張れる人は、なかなかいません。、また、ゴールも見えないのに、やみくもに頑張ってもやがて疲れ切ってしまうでしょう。ですから、何を目指して頑張るのか?を明確にする必要があります。そのためには、自分で目標を決めてその目標を果たすために頑張る、そのためにお題目を一生懸命唱えていくことが必要です。

 更に、大勢の人と目標を共有(きようゆう)していくことも大切です。「頑張っているのは決して自分だけではない。同じ目標の人がこんなにいるんだ!」という気持ちは、心を奮(ふる)い立たせる原動力(げんどうりよく)となります。

 例えば、高校受験や大学受験、部活動、お寺では毎年、折伏誓願目標があります。それぞれの目標に向かって、多くの人たちがともに頑張っています。1人ではできないと思うことも、「みんな頑張っているのだから、自分も頑張らなければ」と思うでしょう。「できない人は1人で頑張り、できる人はみんなで頑張る」という言葉もあります。人は、〝みんな〟になると、大きな力を発揮できます。周囲の支えを求めてばかりではいけませんが、頑張る人同士がお互い励まし合い、支え合っていけば、大きな目標を達成することできるようになります。

 

 日蓮大聖人さまは、御信徒にあてたお手紙のなかで、「何様(いかよう)にもはげませ給(たま)へ、はげませ給へ」、「各々(おのおの)我(わ)が弟子等(でしとう)はげませ給へ、はげませ給へ」(信仰の大事)、「毎年度々(たびたび)の御参詣(ごさんけい)には、無始(むし)の罪障(ざいしよう)も定めて今生一世(こんじよういつせ)に消滅(しようめつ)すべきか。弥(いよいよ)はげむべし、はげむべし」(登山の大事)、「行学の二道をはげみ候べし。行学たへなば仏法はあるべからず。我もいたし人をも教化(きようけ)候(そうら)へ。行学は信心よりをこるべく候。力あらば一文一句なりともかたらせ給ふべし」(信行学・折伏の大事)等と、大聖人さまがいらした時代の御信徒に対し、あらゆる面から信心について取り組む姿勢を励まされています。

 このように直接、日蓮大聖人さまから激励をうけた御信徒方は、どれほど心強く感じたことでしょう。そして、私たちもこのお言葉が、大聖人さまからの自分自身への御言葉と思い、とにかく私たちには御本尊様や諸天善神がついているんだ、護(まも)ってくれているんだと確信し、御本尊様に一生懸命お題目を唱えて、何事も後悔がないよう頑張っていくことが大切です。

 御本尊様は私たちの努力に対し、裏切ったり無駄な努力になることは決してありません。毎日の勤行・唱題を中心に、1日1日の努力の積み累ねが、やがて自分の目標や目的を達成する大きな力となり、明るい未来を切り開いていくきっかけとなっていきます。今、日本をはじめ世界各地で、日蓮正宗の同じ世代の子供たちが頑張っています。皆さんも他のお寺や他の国の子供たちに負けないよう、様々な目標を立て、様々なことに挑戦し、お題目を唱えながら努力し、その目標を達成し、喜びをかみしめることができるよう願っています。