宗祖日蓮大聖人御会式を迎えて(2020年10月1日)

 本年も宗祖日蓮大聖人御会式法要の月を迎え、妙眞寺檀信徒の皆様には、御法主日如上人猊下御指南の、1日2時間・百日間唱題行を勇猛精進されていることと存じ上げます。どうかその唱題行の功徳利益が折伏成就に繋がるようありたいものです。

 

 そもそも私が妙眞寺住職として赴任して以来10年、一貫して皆様に「①毎日の勤行・唱題の功徳をもって、しかるべき人格を具え人倫の道を違えず、1年に1人が1人の折伏をできるように、揺るぎない慈悲の境界を目指して頂きたい。②先祖菩提全ての成仏とその宿業を断ち切るよう、お盆・お彼岸は当然のこと、常盆常彼岸の志を立てて、毎月しっかり先祖供養の塔婆建立を願われ、各家先祖への畏敬の念と感謝の心をもって頂きたい。③毎月の御講には必ず馳せ参じ御本尊様に御供養申し上げ、宗祖日蓮大聖人様への御恩徳に感謝申し上げて頂きたい。④1年に1回でも多く総本山へ登山させて頂き、一月に1日でも多く寺院参詣して頂きたい。」と申し上げてきました。果たして皆様は確実に実践できているでしょうか?

 信心とは毎日の積み累ねです。それこそ幸福な人生を切り開いて行く道は、不断の功徳利益の積み累ねがその源泉となっていくのであり、それは決して一朝一夕で適うものではありません。例を挙げれば、妙眞寺第5代講頭・北原鐡雄氏の父・北原長太郎氏が、1日一万遍の唱題を続け、失明状態であった盲目を見事に開かしめた姿、そして、その姿を拝し感銘を受け入信された北原白秋氏ほか、妙眞寺檀信徒となり大いに活躍された北原家一族の愛宗護法の御信心は、私たちが見習うべき姿として特筆すべきものであります。

 また、当ホームページには、宗祖日蓮大聖人さまが弘安5年10月13日、武州池上にて御入滅遊ばされて以来、七百年以上にわたり、その時代時代において、大聖人さまの御教えの尊さ正しさを達観し、日本の世情を憂い浄化矯正しようと、日蓮正宗に帰依された大檀越方の紹介もあります。特に幕末から明治、大正、昭和初期にかけての国内の状況は、日々刻々と惨憺たる状況になり、罪深き数々の侵略戦争を続けてきた結果、太平洋戦争に敗北してアメリカの属国となってしまったわけでありますが、そうした戦乱の世に、天璋院篤姫様や貞明皇后様方は、どのような思いで大聖人様の教えに帰依せられ、時の御法主上人より常住御本尊様を御下附頂き、日々お題目を唱え続けられたのでしょう。令和に生きる私たちの想像を絶する覚悟と決意をお持ちになられ、必ずやこの日本国の安寧と平和を願い、その思いを御本尊様にお祈り申し上げられ、またその功徳利益をもって用きかけられたことと拝察するものであります。

 

 そうした法華講衆の大先輩の姿を拝するにつけ、御本尊様からの御仏智によって衣食住が整い、物事を克服し乗り越え、病魔を克服したけれども御本尊様への恩返しのない信心、今日の妙眞寺の基礎、土台を作って下さり信行閣を妙眞寺へと発展せられた先師先達の方々、更にその歴史と伝統を継承し今日に至るまで護ってきて下さった方々への感謝の心を忘れ、信心しているにもかかわらず未だに我意我見我欲に執われ、我執を破せない信心、そして折伏のできない信心は、大聖人様の御意から大きく外れているお座なりの信心の姿であります。ましてや今、日本乃至世界中が新型コロナウイルス感染拡大によって混乱の極みを増しているなか、こうした疫病流行の根本原因を忘れて、毎日のメディアによる情報を憐れむだけの傍観者となり、自分さえ家族さえ罹患しないよう注意すればいい、そのうち有益な薬が開発され自然と落ち着いていくだろうと思うような方がいたならば、それこそ妙眞寺檀信徒たるべき信心ではないと断ずるところであります。

 どうか、今からでも遅くはありません。汚れ無き尊い境地に立ち、コロナ禍に恐れおののくことなく、いよいよ御精進の誠を尽くし、疫病流行で苦しむ全ての人々を救うべく、また邪宗謗法の害毒と人々の悪心盛んなることによって疫病が流行するのでありますからこそ、今正に、世のため人のため折伏を行じていくべき時を迎えていると拝し、特に今月は、年に一度の宗祖日蓮大聖人御会式が行われます。当然のことながら、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに沿って奉修申し上げますが、24日・25日の両日に亘って奉修されますので、是非とも御会式に参列して皆様1人ひとりの今後の決意を御宝前に固くお誓い申し上げ、共々宗祖日蓮大聖人への御恩徳に拝謝致しましょうではありませんか。

 

 さて、本年残すところ3ヶ月を迎えたいま、明年の宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大慶事が4ヶ月後に迫っているなか、「御命題達成の年」と銘打たれた、最も大事な本年の折伏達成状況が現在66.67%と、妙眞寺復帰以来10年間にて異例とも言える、非常に無惨な状況にあります。ましてや、今回、コロナ禍を鑑み、折伏育成文書として「そこに正義はあるのか」の冊子を作成致し、相応の印刷をしましたが、いかがでしょうか?ただ自分自身が読んで終わりにはなってはいませんか?

 この冊子は、郵送や手渡しで折伏できるよう考えに考え抜き、何とか皆様の折伏に役立つよう作成したものであり、更に第2号、第3号の作成を考えております。また、この冊子については、他寺院の御住職方や御信徒からの問い合わせも少なくありません。残念ながら、宗務院布教部より、妙眞寺支部内での使用に限定されたため、お断りしているところでありますが、それだけ全国の法華講衆の皆さんは、こうした世情を鑑み、何とかコロナ禍が終熄するよう、明年の大佳節を目前にした今こそ、名実共なる大慶事を迎えることができるように我が身の全てを捧げようと、必死に折伏弘教に動き回っている姿があります。

 先月も、東京向島・本行寺の3名の御信徒が、わざわざ妙眞寺まで幾度となく訪れ、偶然にも2年生になる私の長男の同級生の親御さんを折伏し入信せしめられ、先月末には、その方の勤行の練習のために参詣されています。このように、全国各支部の皆さんが必死に御精進されている姿を見て、私自身も今一度心を入れかえ、身命を賭してその身が続く限り、残りの3ヶ月、折伏弘教に全力を傾注しなければならないと覚悟を決めた次第であります。

 

 とにかく住職といたしましては、御会式までに折伏達成率が80%に満たなかった場合、御会式翌日から出来うる限り、毎日9時、11時、19時からの1時間ずつを基に、毎日最低3時間以上の唱題行を行い、以て12月15日、「百日間唱題行」満願の日までに必ず折伏誓願目標を完遂成就できるよう、一心欲見仏不自借身命、不撓不屈の精神をもって精進していく覚悟であります。どうか皆様には今一度、それだけ大事な「時」を迎えていることを覚知し、一人でも多くの方に「我こそは」と立ち上がって頂きたく存じます。

 そして、不肖私が10年来妙眞寺法華講衆の信心の標語としてきました、『心奮わす唱題行に万感の思いを込め 勇気と思いやりをすべての人に』を心中に刻み込み、本年が皆様にとって大きく境涯を開く年とし、人生の佳きターニングポイント、分岐点となるよう、決して無為な3ヶ月を送ることのない信仰生活に住して頂きたいと心より念願致します。