御報恩御講住職指導(令和8年8月)

 先月末、熊本県を震源とする大地震が勃発し、その惨憺たる被災状況はメディアで報道されている通りであります。その他近年、大型台風の襲来や線状降水帯などによるゲリラ豪雨、山火事であったりと、天変地夭とも言うべき自然災害が跡を絶ちません。正に地震・雷・火事・台風という恐怖が人々を襲い、その原因を辿れば単に邪宗謗法の害毒と、三毒煩悩渦巻く人心の荒廃にあることは、宗祖日蓮大聖人様が『立正安国論』等の諸御書に説かれております。
 よって我々もいつ何時そうした災害を被る立場、被災者になるかわからないからこそ、御本尊様の御冥加と諸天の御加護を賜ることができるように、日頃から無始已来の罪障消滅と宿業打開に努め、現当二世に亘る幸ある人生を自らの手で切り開き、倦まず弛まず信心強盛に精進の誠を尽くしていかなければならないことを、こうした時こそよくよく銘記すべきであります。
 更に私たちは、いかに過去世からの悪の因縁を断ち切ることが必要であるか、自身の未来は良くも悪くも自身でいくらでも改変するわけでありますから、俗世の垢にまみれ悪縁に紛動されることなく、世の中の動向に執われず、日頃から令和の法華講衆としての信行の実践に繋がるような決意と覚悟をお持ち頂きたく願います。
 大聖人様は「都て凡夫の菩提心は多く悪縁にたぼらかされ、事にふれて移りやすき物なり。鎧を著たる兵者は多けれども、戦に恐れをなさヾるは少なきが如し」と仰せであります。ややもすれば、安穏なる日々が続けば油断や隙が生じ、怠惰で不信心な日々を送りがちになってしまうことがあるやもしれません。しかし、そこにこそ魔に魅入られる状況に陥ったり、本来受けなくてもよかった悪報に苛まれる結果となってしまい、自ら苦悩な境涯に没落してしまいます。
 皆さんには、こうした結果にならないよう無慈悲無利益な日々の生活を改め、今出来うる最大限の信心修行に進んで取り組むことが肝要であります。特に今月来月はお盆お彼岸の月であるからこそ、それぞれ塔婆供養を願い、御塔婆を通じて先祖菩提に御本尊様の御徳を回向することが実に大切なことであるかを実感し努めて頂きたく存じます。すでに功徳を積むことができない亡者の追善供養は、生きている我々の使命であり責務であります。それをまずは自らが実践して、更に子供や孫にその大事を伝えて行くことが法統相続の大事であります。要するに、末法における唯一無二の正法正義でなければ、成仏得道の大功徳を適えることができないのは、仏法の道理からして当然であります。そしてまた、日常生活においても同様であり、乳幼児から小学生ぐらいまではなんとなく親に連れられ寺院参詣していたものの、中学生や高校生になると、学業や部活動などの多忙な学生生活や、友人との遊興に寤を抜かすようになってしまい、親の願いも虚しく結果として信仰心が稀薄になり、いつしか日の当たらない濁世闇夜たる世間の五濁乱慢たる苦悩な人生に足を踏み入れる結果となってしまいます。
 よって今こそ、私たちの信心とは何故行ずるべきなのか、なぜ必要なのか、邪宗謗法の恐ろしさと不信心の状態になると自らの人生がどうなるのかを、まずは私たち自身が理解し自覚し実践して行くことが大事大切であり、その功徳利益をもって一家和楽の信心に繋げて頂きたいと念願するところであります。
 今日本乃至全世界で起きている様々な災禍は、最早対岸の火事ではありません。正に紙一重の状況にあることを忘れず、いついかなる時も必ずや御本尊様の尊い御仏智を賜ることが出来うる御精進を、どうか皆様方一人一人が実践行動し、一人でも多くの方をこの正法に導くことができるよう住持して頂きたく存じます。