御報恩御講住職指導(令和6年6月)

 本年も上半期最後の月となり皆様方には本年前半、自身の信行の実践や生活上のことにおいて何を重点的に行ってきたか、何か一つでも結果として成し遂げることができたかどうかを省みて頂き、本年後半に向かって志新たに、何かを一つでも心に決めて実践して行こう、なんとか結果を出そうという決意と、より強盛なる一念心を持って、下半期に臨んで頂きたいと思います。
 昨今の世情を拝すれば、特に政治とお金の問題がクローズアップされ、連日ニュースなどで報道されております。政治家のなかには、真剣に国の繁栄の為に心血を注いでいる方々もいるでしょうが、ニュースで取り上げられるような金銭問題を起こす政治家の姿を見たとき、世の中自体も「今だけ、金だけ、自分だけ」という、我欲に満ち溢れた人々、自我に執着して迷妄極まりない日々を送る人々が多く存在しているのが現実であります。
宗祖日蓮大聖人様が『立正安国論』に、「夫国は法に依って昌え、法は人に因って貴し。国亡び人滅せば仏を誰か崇むべき、法を誰か信ずべきや。先ず国家を祈りて須く仏法を立つべし」と仰せのように、所詮国家の繁栄は大聖人様説くところの正法正義に広布によって初めて栄えるのであり、残念ながら政治家や実業家の方々が日本を変えようとしたところで、良くもならなければ逆に衰退の一途をたどるだけであります。ましてや邪宗謗法の害毒に毒され、寿量品自我偈の「放逸著五欲 堕於悪道中(放逸にして五欲に著し悪道の中に堕ちなん)」の経文通り、三毒煩悩のあやつり人形の如く、五欲や我見に執した毎日の生活を送り、自ずと地獄・餓鬼・畜生といった悪道の命に染まり陥る世の中の人々の姿を見たとき、まずは私たち自身が我が身を律する為にも、朝夕の勤行・唱題を怠り無く果敢に行じて命を磨き、あらゆる諸難困難が我が身を襲ったとしても、「艱難、汝を玉にす」という、一つ一つの諸難困難を信心の錬磨をもって悉く乗り越え、世の中で玉のように輝く存在になり得るよう、更にまた「教風無礙」といって、仏様の教えは何の碍げもなく自在に吹く風のように、私たちの身近なところに常に存在し、日々ありとあらゆる良いこと楽しいこと、辛いこと苦しいことから、我が心の栄養や資糧にすることが大事であることを感じ取れる境涯を構築しなければならないと思います。
 私たちはひとたび生を受ければ臨終を迎えるまで、毎日が功徳を積み累ねる修行の日々であり、大聖人様の教えを信じ行じて行く以外には得られない、広大無辺不可思議偉大なる功徳利益と御本尊様の御仏智をもって、罪障消滅宿業打開、一生成仏の境界から現世安穏後生善処を祈って行くこと、平穏無事にして有意義な1日、1ヶ月、1年を祈り体現して行くことができるように、仏様の御意に適った信心を基軸とした生活を送って頂きたいと念願いたします。
 とにかくその鍵となるのは、必要不可欠な衣食住を調えつつ、無用無益なものに時間や財産を費やすこと無きよう、「少欲知足(欲少なくして足るを知る)」という仏教の理念のもと、バランスの整った生活を心掛け、一天四海妙法広布を願われた宗祖日蓮大聖人の御遺命のお役に立てるよう、またそこに大聖人様への報恩感謝の道があることを銘記して、折伏弘教を志して頂きたいと思います。