御報恩御講(令和5年5月)

 令和五年五月度 御報恩御講

 『諸法実相抄』(しょほうじっそうしょう)      文永十年五月十七日   五十二歳

 いかにも今(こん)度(ど)信心(しんじん)をいたして法華経(ほけきょう)の行者に(ぎょうじゃ)てとを(通)り、日蓮が一門(いちもん)とな(成)りとをし給(たま)ふべし。日蓮と同(どう)意(い)ならば地涌(じゆ)の菩(ぼ)薩(さつ)たらんか。地涌(じゆ)の菩(ぼ)薩(さつ)にさだ(定)まりなば釈尊(しゃくそん)久(く)遠(おん)の弟子(でし)たる事(こと)あに疑は(うたが)んや。経に(きょう)云(い)はく「我(われ)久(く)遠(おん)より来(このかた)是(これ)等(ら)の衆(しゅ)を教化(きょうけ)す」とは是(これ)なり。末法(まっぽう)にして妙法蓮華経の五字(ごじ)を弘(ひろ)めん者(もの)は男女(なんにょ)はきらふべからず、皆(みな)地涌(じゆ)の菩(ぼ)薩(さつ)の出現に(しゅつげん)非(あら)ずんば唱(とな)へがたき題目(だいもく)なり。            (御書六六六㌻一四行目~一七行目)

【通釈】なんとしてもこの度は信心をいたして法華経の行者となり、日蓮の一門となり通すべきである。日蓮と同意であるならば地涌の菩薩に違いない。地涌の菩薩であると定まったならば、釈尊久遠の弟子であることを、どうして疑うことができようか。法華経に「我(釈尊)は久遠以来、これらの(地涌の菩薩)衆を教え導いてきた」と説かれているのはこのことである。末法において妙法蓮華経の五字を弘める者は、男女の別なく、皆地涌の菩薩として出現した者であり、そうでなければ唱えることのできない題目なのである。

□住職より(法華講妙眞寺支部第33回総会)

 本年は御承知の通り、昭和8年12月8日に妙眞寺の前身として信行閣が開堂されて以来90周年の佳節を迎えました。更に、昭和22年12月11日に本地山妙眞寺として寺号公称いたし、その翌年、昭和23年10月20日に講頭・星野直人氏、副講頭・石田嶺作氏の認証を賜り、20名ほどの法華講衆によって法華講妙眞寺支部が結成されて以来75周年の節目を迎えました。
 この伝統ある妙眞寺法華講衆の現今における一大目標は、令和15年妙眞寺創立百周年の記念事業として本堂・庫裡新築・改築事業と、法華講500世帯1000名体制の構築であります。本日現在、妙眞寺法華講は約300世帯500名の陣容となっており、皆様にはどうか、妙眞寺法華講衆の歴史と伝統に誇りを持ち、これらの誓願成就に向かって、異体同心し一致団結して世情の浄化矯正と、御自身はもとより、ありとあらゆる方々の真の幸福を実現すべく、いよいよ自行化他の信心に住して憂国の志士仁人となり、下種・折伏成就出来うる境涯を確立し、今こそ御自身の最大限の御精進を尽くして頂き、意義ある今生現世を過ごした証(あかし)を示すことができるよう、人として生を受け値い難き正法に縁することができた御自身の使命と責務を全うして頂きたいと願います。
 今、世の中は人を不幸に貶める邪宗教を始め、宗祖日蓮大聖人様の正法正義を下げしめる新興宗教団体跋扈の害毒により、コロナ禍や日本各地での大地震勃発をはじめ混乱の極みを見せております。ただえさえ、世の中には三毒煩悩の毒気渦巻く悪風が吹き荒ぶ世の中でありますからこそ、私たちは意を決して自身の命を悉く浄化し、世情の流れに身を任すこと無く、今成すべき行業を油断怠りなく実践していくことが至極肝要であります。
 日蓮正宗の歴史を振り返りますと、この国を司るべき重要な立場にいた徳川幕府第6代将軍・徳川家宣公御夫妻、第13代将軍徳川家定公御令室様の天璋院篤姫、大正天皇御令室様の貞明皇太后をはじめ、時の世情を鑑み憂い嘆きつつ、大聖人様の正法に帰依された方々の御心境を拝するにつけ、そうした名だたる方々をはじめ、宗門八百星霜に亘り身命を賭して正法を護持興隆なされてきた、先師先達方お一人お一人の御遺志を胸に、誇り高き令和の法華講衆たる私たちがその歴史と伝統を継承し、今こそ立ち上がり前進すべき時であります。
 仏教の歴史におけるお釈迦様滅後の正像末三時流通の次第と、外用上行菩薩の再誕、本地たる久遠元初乃至末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様の御教えを今日まで正しく継承してきた日蓮正宗の歴史は、大聖人様御在世当時より法難に次ぐ法難の連続であり、第六天の魔王を始めとする魔の跳梁による広布への道程を立ち塞ぐ障壁の存在は、大聖人様の御教えが唯一無二の正法たる所以であります。しかしながら、その障魔に決して屈することなく身命を賭し粉骨砕身し、本門戒壇の大御本尊様と、大聖人様から第二祖日興上人様に受け継がれた、血脈伝持の代々の御法主上人に信伏随従申し上げ、更に自らの菩提寺をそれぞれ護りぬいてきたのが法華講衆の輝かしい歴史であります。
今回、結成75周年を迎えた妙眞寺法華講衆の皆様も、信行閣開堂から始まり戦前戦中戦後の混乱期を乗りこえ妙眞寺の礎を建立され、一時は正信会僧侶に帰命依止の道場たる当妙眞寺を30年間に亘り、不法占拠されるという不遇の時代もありましたが、平成22年7月21日に宗門へと復帰して以来、すぐさま皆様方妙眞寺法華講衆により、以前の輝きを取り戻すべく東奔西走して折伏を行ぜられ、赤誠の志によって御宝前の荘厳改修をはじめ、寺域のあらゆる修繕整備に御尽力頂きましたことは、今もって感謝の念に堪えません。
 どうか皆様には本年を契機に、妙眞寺法華講衆の日常生活における一つの心得として、気遣いや心遣い、気配りや心配りが自然と実践できるよう心掛け、縁する全ての方々からの信頼を得ることができるよう慈悲の一念心をもって接して頂き、更にそこから下種・折伏へと繋げていけるよう、不断の唱題行に徹し、功徳利益に満ち溢れた、有益にして真の幸福なる人生を一歩一歩確実に前進して頂くことができるよう、より一層の御精進を心よりお祈り申し上げます。