一如 令和4年10月号

住 職 よ り

 いよいよ本年も宗祖日蓮大聖人御会式法要の月を迎えました。この尊い時節にあって世情を察すれば、コロナ禍は改善傾向にありますが、打ち続く台風の襲来により、東海地方をはじめ全国各地において、風水害による大きな被害を被り、多くの方々が被害を被っております。
 私たちはそうした姿を我が身に照らして見たとき、もし自身が同じ境遇に遭ったならばと鑑み、被害にあった方々の安全と早期復興を願うべきものであります。
 何事も私たちの果報は、三世に亘る因縁宿習によるものであります。ですから、夫婦となるも家族となるも、友人・知人関係構築の縁(えにし)は、今生現世において、しかるべくして結ばれたものであり、決して軽々しく考えてはなりません。世間でも「袖触れ合うも多生の縁」と言われておりますように、一つ一つの出会いを大切にして、そこから利他の心をもって、多くの方々の幸せを願って頂くことが肝要であります。人は時に、他人を傷つけてでも自利満足のため、利己的な心に陥ることがありますが、私たち日蓮正宗の僧俗は、自利利他の精神を心掛け、自行化他の信行の実践に励み、今世の中を狂わす根本原因である邪宗謗法の害毒や、自身の利益や名声を貪るような三毒煩悩に塗れた人々の、人心の荒廃を嘆き憂うのみならず、人としてしかるべき人生を送ることの大切さ、三世の生命に立脚し、現当二世に亘る真の幸福な人生はどこにあるのかを、一人でも多くの方に弘め伝えることが今、私たちに与えられた使命であり責務であります。
 要するに、その秘決こそが大聖人様の教えにあり、御本尊様への確信と不断の信行の実践により、まずは自らが福徳増進して、他をも利することが出来うる境涯になることが非常に肝要なことであることを肝に銘じ、間違えても自己中心的な心によって、人を悩ませ傷つけることがないよう、自身を律してよく省み、今正に自分の成すべきことをよく熟考して、しかるべき行業を修して頂きたく心より念願いたします。
 最後になりますが、明年、妙眞寺創立九十周年を迎えるに当たり、妙眞寺として新規記念事業は行いませんが、築六十年余りになる本堂・庫裡の老朽化に伴い、屋根の傷みや雨漏り、各壁面の損傷をはじめ、修繕すべき箇所が出てきております。今後、修繕箇所を明らかにして、宗務当局とも相談しながら修繕事業を行いたいと存じますので、皆様には御尽力のほど、伏してお願い申し上げます。

御法主日如上人猊下御言葉

 自分一人だけの幸せを求める信心、すなわち利己的な信心は、大聖人様がお示しあそばされた自行化他にわたる信心にはほど遠く、これではかえって成仏を妨(さまた)げることになるのであります。したがって私どもの信心にとって、謗法の害毒によって不幸に喘(あえ)ぐ多くの人々を救う折伏がいかに大事であるかを、一人ひとりがしっかりと知らなければなりません。
 『法華初心成仏抄(ほつけしよしんじようぶつしよう)』には、「当世の人何(なに)となくとも法華経に背(そむ)く失(とが)に依(よ)りて、地獄に堕(お)ちん事疑ひなき故に、とてもかくても法華経を強(し)ひて説ききかすべし。信ぜん人は仏になるべし、謗ぜん者は毒鼓(どつく)の縁(えん)となって仏になるべきなり。何(いか)にとしても仏の種は法華経より外(ほか)になきなり」と仰せであります。
 「毒鼓(どつく)の縁(えん)」とは、皆様には既に御存じの通り、太鼓(たいこ)に毒薬を塗り、これを大衆のなかで打つと、その音は聞こうとしない者にも届き、聞いた者は皆、死ぬと言われております。これは、法を聞こうとせず反対した者でも、やがて法を耳にしたことが縁となって成仏得道できることを、毒鼓を打つことに譬えているのであります。
 すなわち、一切衆生には皆、仏性が具わっており、正法を聞いたことが縁となって成仏できるのであります。したがって、たとえ初めは耳を塞(ふさ)ぎ、かたくなに反対した人でも、慈悲の心をもって根気よく折伏を続けていけば、やがて聞く耳を持ち、必ず救済することができるのでありますから、折伏は諦めず、粘(ねば)り強く続けていくことが大事なのであります。
 さらに折伏に当たって大事なことは、大御本尊様への絶対の確信と、何ものにも恐れない勇気と、相手を思う慈悲の心であります。
 しこうして、この確信と勇気と慈悲の心は、大御本尊様への絶対信から生まれてくるのでありますから、折伏に当たっては、まずしっかりと唱題に励み、その功徳と歓喜をもって折伏に打って出ることが肝要であります。
 『法華初心成仏抄』には、「凡(およ)そ妙法蓮華経とは、我等衆生の仏性(ぶつしよう)と梵王(ぼんのう)・帝釈等の仏性と舍利弗・目連等の仏性と文(もん)殊(じゆ)・弥(み)勒(ろく)等の仏性と、三世諸仏の解(さと)りの妙法と、一体不二なる理を妙法蓮華経と名づけたるなり。故に一度妙法蓮華経と唱ふれば、一切の仏・一切の法・一切の菩薩・一切の声(しよう)聞(もん)・一切の梵王・帝釈・閻(えん)魔(ま)法(ほう)王(おう)・日月・衆星・天神・地神・乃至地獄・餓鬼・畜生・修羅・人天・一切衆生の心中の仏性を唯(ただ)一音に喚(よ)び顕はし奉る功徳無量無辺なり」と仰せであります。
 すなわち、妙法蓮華経とは、人・天・二乗・菩薩等のあらゆる境界の衆生が具えている仏性と、三世諸仏の悟りの仏性とが、一体不二なる理に名づけたものでありまして、故にひとたび妙法蓮華経と唱えれば、心中の仏性が呼び顕され、成仏することができると仰せられているのであります。
 されば、私どもはこの御金言を拝し、今こそ一切衆生の秘法たる妙法を一人でも多くの人に、また一日も早く、一天四海・皆帰(かいき)妙法を目指し、講中一結・異体同心して身軽(しんきよう)法重(ほうじゆう)・死身弘法(ししんぐほう)の御聖訓のままに決然として折伏に励まれますよう心から願い、本日の挨拶といたします。

  九月度 広布唱題会の砌 令和四年九月四日 於 総本山客殿     

妙眞寺よりお知らせ

★二日(日)は、午前九時より広布唱題会・永代御経日を行います。寺院清掃は行いません。
★五日(水)午後六時四十五分より、新宿・大願寺において、十月度広布推進会が開催されます。三名の参加割当となっております。なお、十一月度広布推進会は、十一月九日(水)午後六時四十五分より、新宿・大願寺において開催されます。
★八日(土)午後七時、九日(日)午前十時三十分・午後二時から、宗祖日蓮大聖人御報恩御講を奉修致します。また、九日(日)午後一時より、若葉会御講を行います。
★本年度御会式法要に向け、十五日(土)午後一時より、御会式大掃除を行い、二十日(木)夕勤行後、御会式御宝前飾り付けを行います。ぜひ多くの方にお手伝い頂きたく、お願い申し上げます。
★妙眞寺団体登山は、現在のところ十一月二十三日(水)実施を予定しております。今後の新型コロナウイルス感染状況次第により日程を再考いたします。