御報恩御講(令和3年7月)

 『上野殿後家尼御返事』     文永2年7月11日  44歳

 法華経(ほけきょう)の法門(ほうもん)をきくにつけて、なをなを信心(しんじん)をはげ(励)むをまこと(真)の道心者(どうしんしゃ)とは申(もう)すなり。天台(てんだい)云(い)はく「従藍而青」(じゅうらんにしょう)云云。此(こ)の釈(しゃく)の心(こころ)はあい(藍)は葉(は)のときよりも、なをそ(染)むればいよいよあを(青)し。法華経(ほけきょう)はあいのごとし。修行の(しゅぎょう)ふかきはいよいよあをきがごとし。
(御書337㌻7行目~9行目)

【通釈】法華経の法門を聞くにつけて、なお一層信心に励むを、真の道心者と言うのである。天台大師は「従藍而青」と言われている。この釈の心は、藍は葉の時よりも、(布などに)染めれば染めるほど、いよいよ青くなっていく。法華経は藍のようであり、修行を深めることは、藍染の色がいよいよ青くなっていくようなものである。

【拝読のポイント】
〇浄土も地獄も我が一念に
 三月に兵衛七郎が亡くなると、しばらくして大聖人は墓参のため、富士上野の南条家まで出向かれました。後家尼をはじめ南条家の人々にとって、大聖人のご来訪は何よりも心強く、嬉しいことだったに違いありません。また、この墓参の後に認められた本抄で大聖人は、「さだめて霊山浄土にてさば(娑婆)の事をば、ちうや(昼夜)にき(聞)ゝ御覧じ候らむ」(御書336)と、妙法の信心によってすでに成仏した兵衛七郎は、霊山浄土より妻子のことを見守っているであろうと、心温まる言葉を綴られています。
 大聖人は、拝読の御文の前段で「浄土と云ふも地獄と云ふも外には候はず、たゞ我等がむね(胸)の間にあり」(同右)と示され、浄土や地獄もどこか遠い所にあるのではなく、我が一念の中にあることを教示されています。続いて、「権教を修行する人は、火にや(焼)くるもの又火の中へい(入)り、水にしづ(沈)むものなを(尚)ふち(淵)のそこ(底)へ入るがごとし」(同右)と、誤った教えを信仰すれば必ず地獄に堕ちることを示されています。一方、正法を信ずる者は、「『火も焼くこと能はず水も漂はすこと能はず』云云。あらたの(頼)もしやたのもしや」(同337)と、種々の災難から守られ、成仏という安穏な境界に住することができると教示されています。
〇従藍而青の信行で
 大聖人は、拝読の御文で「従藍而青」について、「此の釈の心はあいは葉のときよりも、なをそむればいよいよあをし」と、法華経を「藍」に、修行がいよいよ深くなることを「青」に譬えられています。総本山第66世日達上人は、『乙御前御消息』の「青き事は藍より出でたれどもかさぬれば藍よりも色まさる。同じ法華経にてはをはすれども、志をかさぬれば他人よりも色まさり利生もあるべきなり」(御書八九七)の御文について、「信心が強盛であるならば、他の人よりももっと勝れて利益がある、功徳があるということはまちがいないのであります」(日達上人全集2―4―166)と御指南されています。私達は、仏道修行を、倦まず弛まず、日々積み重ねていく強盛な信心にこそ、勝妙の大功徳が具わることを銘記すべきです。
○日如上人御指南
 『曽谷殿御返事』には、「謗法を責めずして成仏を願はゞ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし。何に法華経を信じ給ふとも、謗法あらば必ず地獄にをつべし。うるし千ばいに蟹の足一つ入れたらんが如し。『毒気深入、失本心故』とは是なり」(御書1040)と仰せであります。これらの御文を拝し、私ども一同、コロナ感染症によって世情騒然としている今こそ、講中一同、意を決して立ち上がり、一人でも多くの人々に対して、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の仏法の広大無辺なる功徳を説き、折伏を行じていかなければならないと思います。
(大日蓮・令和3年4月号)
□まとめ
 私達には、御本仏日蓮大聖人の大願である広宣流布を成就させるという崇高な目的があります。広宣流布とは、一切衆生救済を意味するのですから、この尊い意義をしっかりと踏まえ、仏様のお手伝いをさせて頂くことに誇りを持ち、破邪顕正の折伏を実践していこうではありませんか。
 拝読の御文に「法華経の法門をきくにつけて、なをなを信心をはげむをまことの道心者とは申すなり」とお示しのように、常に寺院に参詣して法門を聴聞し、自ら一層の信心を奮い立たせ、「まことの道心者」とお褒め頂けるよう、「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の年」の支部折伏誓願目標を、必ず達成してまいりましょう。

□住職より 

 東京都におきましては、12日より4回目の「緊急事態宣言」発令となりました。そして、今月21日より開催される東京五輪に向かって世の中は動いておりますが、新型コロナウイルスも新たな変異株の出現により、いつまた大規模感染になるかわからない状況であります。
 目黒区内の小学校におきましては、職員児童合わせて47名のクラスター感染が起きるなど、予断を許さない状況でありながら、平日夕方や土曜、休祝日、自由が丘駅周辺では滞在人口が非常に過密な状況にあり、正に「対岸の火事化」している状態に、かなりの危機感を感じております。当然、自由が丘駅周辺は飲食産業を始め各商業施設が軒を連ねており、コロナ禍によって経営状況に著しい影響を受けていることは否めない事実であり、非常にもどかしい限りであります。
 とにかく今は、皆さま御自身が三密を避け、マスク着用や手洗いうがいなどの予防対策を徹底すれば、新型コロナウイルスの感染リスクは格段に下がります。また、各自治体ではワクチン接種が順次行われておりますが、完全に感染を抑止するものではありません。実際、ワクチン接種を終えた後、感染される方も出始めています。ですから、ワクチン接種を終えたからといっても、決して油断すること無く、通常の予防措置を執りながら日常生活をお送り頂きたく存じます。
 また、令和2年度の少年部体験発表作品集のなかに、東京第二布教区から6人の子供たちの発表が掲載されておりますが、その中で、「御本尊様を信じて朝夕の勤行・唱題を続けていくと必ず明るい未来になるんだと分かりました。今は新型コロナウイルスで大変な世の中ですが、来年の御聖誕八百年に向かって、日々勤行唱題を続けて頑張ります」、「百年に一度の大佳節を家族みんなで一緒に迎えられる幸せに感謝して、毎日を一生懸命に大事に生きていきたいです」との発表がありました。
 少年部の子供たちがこうした意識をもって、本年の大佳節を迎え、より一層勤行唱題を精進して、悩み事を解決したり、学校の友達に対して親御さんの助けを得ながら、一生懸命折伏している姿があります。
 今、世の中はコロナ一色でありますが、何よりも本年は「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の年」の大佳節ですからこそ、私たちは「この大佳節に相応しい信行の実践に励むことにより、コロナ禍を乗り越えることが適う」との思いを胸に、なかなか大きな動きは取れませんが、創意工夫して出来うる限りの折伏弘教に励み、まずは御先師日顕上人が「すべてに通じておるところの絶対的な意味での善の行は、南無妙法蓮華経と唱える唱題行であります」との御指南を拝し、日常生活においても、折伏においても「すべては唱題から」という意識を持って、御法主日如上人猊下が「信仰とは実践である」、「動けば必ず智慧が湧く」と仰せのように、唱題が唱題で終わらぬよう、目的意識をしっかり持った唱題行を実践し、日顕上人が仰せのように、自らの祈りや願いが相通ずるような真剣な唱題行に徹して頂きたく存じます。更にその祈りや願いが成就するまで、粘り強くお題目を唱え続け、自らの境涯を限り無く開き、より尊い崇高な境界を築き上げ、獅子の吼えるが如く、世の中の邪義邪宗やあるとあらゆる悪縁を打ち払い、残すところの日々を有意義に御過ごし頂きたく、心よりお祈り申し上げます。

 

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