令和3年7月度 東京第二布教区広布推進会指導教師指導

 東京第二布教区各支部代表の皆さまには、新型コロナウイルス感染拡大中のなか本年も下半期となり、今月は「『立正安国論』正義顕揚の月」として、また、「宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の年」の後半戦の出発といたしまして開催されました広布推進会への御参加、誠に御苦労様でございます。

 さて本日は、下種折伏もさることながら、私たちの信仰において非常に大事な「一家和楽の信心」を実現するための「法統相続」、子供たちへの信心の育成についてを中心に、少々お話をさせて頂きたく存じます。

 皆さんのなかには、お子様やお孫様がいらっしゃる方々が多々おられると存じますが、コロナ禍の今、家族揃って信行の実践に励まれているでしょうか。当然、子供がいたならば、愛情をもって子供の健やかな成長を見守り、立派な社会人になり幸せな人生を送れるよう、真心を込めて子育てをなさると思います。そして、私たちは仏教において生・老・病・死の四苦が説かれている通り、生を受けた以上、当然死を免れることはできません。更に、病気になったり年老いていくことは必定であります。ですから、一期の人生をいかに有意義に過ごすか。世法上、学業の成績や学歴も優秀であり、地位や名誉、財産もあるにこしたことはないと存じますが、そればかりでは無利益極まりないことであり、それ以前にまず私たちが本来求むべき正しい信仰を受持信行することがいかに重要であり、そうした清く正しく尊い人生を指し示す羅針盤のもとで送る日々こそが、最高最善の生き方であり、私たちはそうした教えを子供、孫、更に子々孫々へと伝え、家族揃って信行の実践による福徳を増進して積み累ね、幸福の源を築いていくことが非常に大切であります。

 ましてや、ただでさえ五濁爛漫にして三毒煩悩の悪風吹き荒ぶ、この娑婆世界に身を置く私たちに対し大聖人様は、『松野殿御返事』に、「魚の子は多けれども魚となるは少なく、菴羅樹の花は多くさけども菓になるは少なし。人も又此くの如し。菩提心を発こす人は多けれども退せずして実の道に入る者は少なし。都て凡夫の菩提心は多く悪縁にたぼらかされ、事にふれて移りやすき物なり」と仰せになられております。要するに、稚魚が無事大魚の襲来などをのがれ、成魚となるのが難しいように、マンゴーの花は多く咲いても果実となるのが少ないように、私たちが仏道修行を行じていく中で、途中、信心の歩みを休めたり、怠ったり、ましてや疑いの心を起こしてみたりと、真実の道をつき進むことがいかに困難であるか。更に、俗世間では様々な悪縁が渦巻き、そうした世間の垢に巻き込まれ不幸な人生を強いられる方々が多いなか、私たちも同様に、いかに信行の実践に励んでいても、何かにつけて足を引っ張られたり、三障四魔や宿世の因縁による果報によって信心に疑いを起こしてみたり、諸難困難を迎え、より一層信心に奮起しなければならない時、その脅威についつい尻込みしてしまったり、いざという時に信行の実践を疎かにしてしまう時があるかもしれません。

 よって、コロナ禍の今こそ、御自身の自行化他に亘る信心を省みて頂き、果たして自分は今日の憂慮すべき世情を鑑み、世の中の平和安寧と広布への志を立て、縁する全ての方々を幸福へと導くべき心根を持ち、信行の実践に励んでいるかどうか。改めて御自身の信仰姿勢を振り返って見て下さい。

 本来、仏道修行とは身口意の三業相応して行うべき修行であり、特に折伏行は、理屈や言葉ばかりではなかなか成就できません。まず肝心なのは、多くの人から慕われ愛されるような人格の構築と、あらゆる方々を思いやり、慈しみ、祈ることができる慈悲の心溢れる境涯になることであり、そうした境涯になることにより、自ずとその命がそのまま、あらゆる人の命に伝播し通じていきます。

 そして、御先師日顕上人が、「すべてに通じておるところの絶対的な意味での善の行は、南無妙法蓮華経と唱える唱題行であります」と御指南されておりますように、広布への思いを持って、自行化他の唱題に唱題を重ね、限り無く境涯を開き、御本尊様の尊い御仏智を賜りつつ、慈悲の境界をより高く、幸福な人生をより幸福に至らしめ、お子様お孫様にあっては幼少期のうちから幸福な人生を築く礎、土台を作り上げ、御本尊様への強い確信を持ち、信心を行じながら人生を送るところに万事、仏さまの御心のままに、しかるべき正しい道へと誘って下さることを、子を持つ親である私達がしっかりと伝えて行くことも極めて重要であります。

 私の家族の話になり大変恐縮ですが、小学5年生になる長女も小学2年生の1月より地方部鼓笛隊に入隊しておりますが、入隊後、朝夕の勤行や唱題に取り組む姿勢が大きく変わりました。特に昨年の夏、長男が目の手術をした際には、家内の母や伯母と共に3人で手術が終わるまでの3時間、唱題し続けていたそうであります。そして、無事手術が成功し、家内や長男と共に帰宅して、全身麻酔で意識がまだ朦朧とし、少々横になった長男にそのことを伝えると、横で見守る姉に対し感謝の思いを一筋の涙に表し、小さくか細い声で「ありがとう」と答え、心温まる姉弟の絆に思わず涙したところであります。

 また、2年前の令和元年、初めて全国鼓笛隊コンクールに出場させて頂き、翌日の全国少年部大会に参加したのち、帰りの車中で登山の感想を聞くと、開口一番「私もAちゃんを折伏したい、一緒に信心がしたい」と聞き、入隊して半年足らずで、信心や人としての成長ぶりに大変驚きました。

 現在、東京第二地方部鼓笛隊は、全国50チーム中、全国一を誇る48名で構成され、地方内各支部より集まった鼓笛隊の仲間と目標を分かち合い、互いに切磋琢磨し励まし合うことにより、信心の向上をはかることができ、我が子も精神的にも信心の面でも、非常に成長することが適い大変有り難く思っております。

 また今回、令和2年度の少年部大会体験発表応募作品集を拝見させて頂きましたが、東京第二地方部から6名の子供たちの純粋な信心の経験が掲載されており、御本尊様への確信、信心の有り難みや喜び、勤行・唱題の大切さなどが書き綴られ、非常に感銘を受けた次第であります。更にそのうち4名は鼓笛隊の子供達で、それぞれ鼓笛隊員であることの誇りや仲間との一体感、唱題や練習への取り組みなどが語られており、こうした鼓笛隊活動を通じて支部を越えた交流を図ることによって、隊員同士が信心による固い絆で結ばれ、信心・精神の両面で互いに成長して行く姿を見て、今後の東京第二地方部を担う立派な信仰者として、大きく成長して頂きたいと願うものであります。

 地方部鼓笛隊責任者である大森君は「主体性」の大切さを、鼓笛隊員によく話されています。実際、世間では今、「主体性」に欠ける子供の成長が問題になっています。つまり、型にはまった躾、日本人特有の「みんなそうしているから」と言った風習、自主的行動の欠如によって、そうした子供が社会人となり、小さなことですら自分で判断できない、言われたことしかできない、環境の変化に随時対応できないなど、たとえ立派な社会人になったとしても、そうしたことが原因となってドロップアウトしてしまったり、引きこもりになったりすることが多々あるようです。

 しかし、私たち日蓮正宗僧俗の仏道修行は、「主体性」即ち「自主的行動」が無ければ何事も全うすることはできません。御法主日如上人猊下は、「信仰とは実践である」、また「動けば必ず智慧が湧く」と仰せであります。特に折伏面においては動きがなければ折伏は成就しませんし、始まりすらしません。とにかく折伏の志を立てて行動に移し、根気強く行じていくことが根本であり、世のため、人のため、悩める多くの方々を救うべく、「やる気」、「動き」、「根気」の3つの気を持ち、宗祖日蓮大聖人様の御遺命たる広宣流布を目指していくことこそが、私たちの一大修行であり、大聖人様の弟子檀越としての使命と責務であり、そこにまた、広大無辺不可思議偉大なる功徳利益の実証が必ず存するのであります。そして、昨日より今日、今日より明日へと着実に、より尊く、より境界高く、その功徳利益に浴した毎日の生活を実現していくことが、私たちの信仰であり、送るべき日常生活であり、いざ大晦日を迎え折伏成就適わず、無為な1年を送ってしまったと後悔することなきよう、残すところ半年、『立正安国論』の御聖意を拝し、意を決して折伏弘教に果敢に励み、コロナ禍を乗り越え、実りある日々をお送り頂きたく存じます。

 因みに妙眞寺支部におきましては、まだまだ小さな支部でありますので、少年部長さんと話し合いながら、現在は9名ほどの小学生と中高生合わせて15名前後ではありますが、毎月第2日曜日の午後1時から若葉会御講と銘打って、小中高生一体となり、読経・唱題の後、毎月簡単な仏教法話を作成し、その読み合わせをするほか、色々と創意工夫し、信心の面においても確実に成長するよう、講中の方々の理解を頂き、子供たちの育成に力を入れております。

 どうか、本日、広布推進会に御参加の皆さまには、各支部各御家庭のお子様お孫様への「法統相続」の大事、「コロナ禍の今、この信心こそが疫病の災禍を乗り越える唯一の方途であること」をお伝えて頂き、講中一結して宗門や各支部の未来を担う少年部の育成をより積極的に行って頂きたく存じます。

 最後に、私たちが住するこの地球は、時速約11万キロで1年かけ太陽の周りを1周することにより、我が国では春夏秋冬の巡りゆく季節を迎え、時速約1700キロで1回転し続けることにより、毎日、日が昇り朝を迎え日が沈めば夜を迎え、一瞬にして1日が終わり1年が終わります。そうした刹那的に有為転変する1年乃至1日を送るなかで、今後も、厳然たる因果の理法によって、大地震や大型台風などによる自然災害の災禍、疫病や戦争、無惨な事件事故など、日々ありとあらゆる不幸な出来事が起きようとも、たとえ心が打ちひしがれるような困難を迎えたとしても、揺るぎない境界のもと力強く前進する為にも、御本尊様への大確信と弛まぬ信行の実践こそが、あらゆる災禍を免れ、諸難困難を解決し、未来への勇気と希望を持ち、慈しみの境界を築き上げ、五濁悪世の闇夜を生きる子供たちの明るく幸ある未来を指し示す一筋の光明であることを確信し、本年、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節の後半戦を迎え、東京第二布教区各支部の更なる御隆昌と御発展を心よりお祈り申し上げ、本日の指導教師指導とさせて頂きます。

住職より

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