一如 令和3年4月号

住 職 よ り

 本年も四月を迎え、新年度が始まりました。妙眞寺檀信徒の皆さまには進級進学、また新天地にて就職乃至転職、転勤する方などもおられるかと存じます。特に、現在コロナ禍という未曽有の災禍にて、出口の見えない自粛生活を余儀なくされている今、どのように有意義な日々を送るか、価値ある人生を送れば良いのか。月日というのは瞬く間に過ぎ去って行きます。それだけ貴重なものであり限られた時間をいかに過ごすか、人それぞれの生き方によって、その人生の終点も大きく変わってきます。
 譬えるならば、一期の人生を旅する時の旅人であり、この旅路を本来目指すべき霊山浄土という最終目的地に進むため、その鍵となる徳を重ねるためには、その旅路をいかに進むべきか。野を越えるにも綺麗な道を進むか茨の道を進むか、山一つ越えるにも整備された道を進むかあえて獣道を進むか、旅の途中で出会う人々にどう接するか、夢や希望をもって一つの目安・目的地へ歩みを進め、その場所にたどり着いたとしたらそこでまた、新しい目的地を決めて再び歩みを進めるか、それとも途中の目的地で満足してしまいそこで歩みを止めてしまうか、本来目指すべき最終目的地にたどり着かず、その旅を志半ばで終えてしまうか、人それぞれ旅路の行く末は三者三様であります。
 要するに、この世に生を受けてより必ず最終目的地のある旅が始まる我が人生において、私たちは信行の実践という、世間の人とは大きく違う仏道修行を伴う毎日は、正に茨の道や獣道を選び進むようなものであり、そこにこそ功徳利益を積み重ねる意義があります。また、しっかりと志、目的を定めて日々を送るか否か、一つの目的を達成して満足してはいないかどうか、一期の人生で多くの方々に出会うなか、どれだけの方にこの正法正義を勧め、共に歩みを進むことができているかどうか。
 妙眞寺が宗門に復帰し間もなく十二年、そして十二年後には創立百周年の佳節を迎える今、私たち妙眞寺僧俗は、必ずや霊山浄土という唯一無二の素晴らしい最終目的地に到達できるよう、改めて旅支度を調え直し、歩みを進めて行くことが肝要であります。そして、いつの時代もその旅路に待ち受けているのは、想像を絶する自然災害や様々な自身内外の障礙の用きでありますが、倦(う)まず弛(たゆ)ます勇猛果敢に歩みを進め、御本尊様から賜る功徳利益をもって全てを乗り越え、力強く前進して参ろうではありませんか。 

御法主日如上人猊下御言葉

 今日の如く、邪義邪宗の謗法が国中に充満し、五濁乱漫とした世相を呈している末法においては、相手の誤りを容認しつつ、次第に誘引(ゆういん)して正法に入らせる化導法、つまり摂受(しようじゆ)ではなく、「法華は折伏して権門の理を破す」と仰せの如く、相手の邪義邪法の謗法を破折して正法に帰依させる化導法、すなわち折伏をもって正法に帰依せしめていくことが肝要であると仰せられているのであります。
 されば『聖愚問答抄(しようぐもんどうしよう)』には、「今の世は濁世(じよくせ)なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり」と仰せられ、末法濁悪の今時においては、折伏こそ時に適った最善なる弘教の方途であることを明示あそばされているのであります。
 さらに『南条兵衛七郎殿(なんじようひようえしちろうどの)御書』には、「いかなる大善をつくり、法華経を千万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経のかたきをだにもせめざれば得道ありがたし」と仰せられ、末法は折伏をもって正規とすることを明記され、「法華経のかたき」すなわち、邪義邪宗の謗法を破折し、折伏を行じない者は「得道ありがたし」と厳しく御教示あそばされているのであります。
 されば『曽谷殿(そやどの)御返事』には、「謗法を責めずして成仏を願はヾ、火の中に水を求め、水の中に火を尋ぬるが如くなるべし。はかなしはかなし。何(いか)に法華経を信じ給ふとも、謗法あらば必ず地獄にをつべし。うるし千ばいに蟹の足一つ入れたらんが如し。『毒気深入・失本心故』とは是なり」と仰せであります。
 これらの御文を拝し、私ども一同、コロナ感染症によって世情騒然としている今こそ、講中一同、意を決して立ち上がり、一人でも多くの人々に対して、末法の御本仏宗祖日蓮大聖人の仏法の広大無辺なる功徳を説き、折伏を行じていかなければならないと思います。
 どうぞ皆様方には、かくなる意を斟酌(しんしやく)せられ、決意を固め、全力を傾注して折伏を行じられますよう心から願い、本日の挨拶といたします。

   三月度 広布唱題会の砌 令和三年三月七日 於 総本山客殿

妙 眞 寺 よ り お 知 ら せ

★四日(日)は午前九時より広布唱題会、引き続き永代御経日を行い、終了後、寺院清掃を行って頂きますので、何卒宜しくお願いします。
★十日(土)午後七時、十一日(日)午後二時から、宗祖日蓮大聖人御報恩御講を行います。また、十四日(日)午後一時より、若葉会御講を行います。
★十四日(水)午後六時四十五分より、新宿・大願寺において、四月度広布推進会が開催されます。三名の参加割当となっております。なお、五月度広布推進会は、5月12日(水)午後6時45分より、新宿・大願寺で行われます。

★二十五日(日)、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝記念・第一回妙眞寺団体添書登山を行う予定です。しかし、新型コロナウイルスの感染状況によっては、再度中止とする場合もあります。
★二十九日(木)午後二時より、恒例の宗祖日蓮大聖人・宗旨建立会を奉修致します。祝日ですが、深信の御参詣をお待ちしております。
★本年も広布唱題行を行っておりますが、現在のところコロナ禍を鑑み、当面火・水・金曜日の午前十一時からの週三回といたします。その他、妙眞寺は朝勤行から夕勤行終了後まで、毎日開門しておりますので、日中は御自由に御参詣下さい。       

★今年は山門前の梅の木に30個ほどの実がなりました。それほど数多くはありませんが、妙眞寺復帰以来12年のなかで2回目ということで、これも何かの吉兆と捉えております。