宗祖日蓮大聖人御誕生会(令和3年2月)

 いよいよ令和3年2月16日に、宗祖日蓮大聖人御聖誕(ごせいたん)800年という100年に1度の特別な日をむかえます。毎年2月16日には、宗祖日蓮大聖人御誕生会として、お寺で法要を行っていますが、今年は宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝(けいしゆく)記念法要として行います。そこで今月は、宗祖日蓮大聖人御誕生会についてのお話をします。

 仏法においては、インドに誕生されたお釈迦(しやか)さまが亡(な)くなったあとの千年を正法(しようぼう)時代、次の千年を像法(ぞうぼう)時代、そのあとの時代を末法(まつぽう)の時代とされています。お釈迦さまは、色々なお経のなかで、「わたしが亡くなったあと、正法・像法の二千年間は、私が説いた教えに利益(りやく)があるものの、時が経(た)つにつれてその力はだんだんと薄(うす)れてしまう。そして、末法時代になると、闘(たたか)いや争(あらそ)いごとが増え、人々の心が荒(あ)れてくる。そしてついには、私の説いた教えでは人々を救うことができなくなってしまう。しかし末法には、真(しん)の仏さまが世に現れて、あたかも太陽や月の光が暗やみを照(て)らすように、多くの人々を不幸から救っていくであろう」と予言(よげん)されました。

 そして、今から969年前、平安時代の永承(えいしよう)7年(1052年)に、世の中は末法の時代となり、平安(へいあん)時代のおわりから鎌倉(かまくら)時代にかけて、戦争や災害などによって多くの人たちが亡くなり、新型コロナウイルスのような疫病が流行したり、強盗(ごうとう)などの悪い人たちが大暴れするなど、人々はとても苦しんでいました。そのようすは、まさにお経文(きようもん)に説かれている末法の時代の様子(ようす)そのものでした。そのようななか、お釈迦さまが予言されたお言葉通りに、末法のご本仏さまとして、日本に出現されたのが日蓮大聖人さまなのです。

 大聖人さまは、今から800年前の貞応(じようおう)元年(1222年)2月16日、貫名次郎重忠(ぬきなじろうしげただ)を父とし、梅菊(うめぎく)を母として、安房国(あわのくに)長狭郡(ながさのこおり)東条郷(とうじようのごう)片海(かたうみ)(現在の千葉県鴨川(かもがわ)市)に誕生され、幼名(ようみよう)(子供ころの名前)を善日麿(ぜんにちまろ)と称(しよう)されました。大聖人さまは、ご自身の誕生について、「漁師(りようし)の子」、「身分の低い家から出て僧侶となった」と仰せになられています。これに対して、インドのお釈迦さまは、シャカ族の王子さまという、高い身分で誕生されました。どうして大聖人さまは、低い身分の人としてご誕生されたのでしょうか。これは、仏さまが私たちと同じ立場や姿で世の中に出現され、苦労をともにして多くの人々を本当の幸せへと導かれるお姿を表すためなのです。これを「示同凡夫(じどうぼんぷ)」といいます。当時の2月16日は、令和の時代では4月6日にあたります。厳しい冬がおわりをつげ、あたたかな春の季節に大聖人さまはご誕生されました。まさに、日月(にちがつ)の光明(こうみよう)の徳を具えられる、真実の仏さまがご誕生されるのにふさわしい季節です。そして、2月16日は、大聖人さまが安房国でご誕生された日ですが、その本当の意義は、末法の時代の人々を救われる御本仏さまが世の中に出現された、まことに意義深い日なのです。

 第二祖(だいにそ)日興上人(につこうしようにん)さまは、『産湯相承事(うぶゆそうじようじ)』に、大聖人さまからうけたまわった、ご誕生時の不思議な瑞相(ずいそう)について、次のように記(しる)されています。
 『母君(ははぎみ)は、お腹(なか)に子供(大聖人さま)を授(さず)かるときに夢をみました。それは、ある夜、比叡山(ひえいざん)に腰をかけ、比叡山のふもとにある琵琶湖(びわこ)の水で手を洗い、そして富士山から昇(のぼ)った日輪(にちりん)(太陽)を胸に懐(いだ)いた夢でした。不思議に思って父君(ちちぎみ)に話したところ、父君も不思議な夢を見たと言うのです。それは、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)がかわいらしい子供を肩に乗せて現れ、その虚空蔵菩薩が言うには、「この子は上行菩薩(じようぎようぼさつ)であり、将来はあらゆる人々を救う大導師(だいどうし)となる方である。この子をあなたに授けよう」と言って、消えてしまったという夢でした。ご夫婦で、「不思議なことがあるものだ」と語りあったそうです。また、母君は大聖人さまのご誕生の日にも、次のような夢を見ました。1本の青蓮華(しようれんげ)の花が開いて、そこから泉が湧(わ)き出ました。その清水(しみず)を産湯(うぶゆ)につかいあまりの水をまわりにまくと、辺(あた)り一面は金色(こんじき)にかがやき、まわりの草や木はいっせいに花がさき、実がなったということです。末法の御本仏さまのご誕生にふさわしい、不思議な、壮大な夢でした』と、大聖人さまから日興上人さまに言い伝えられました。

 総本山大石寺では、毎年2月16日に御法主上人猊下(ごほつすしようにんげいか)さまの大導師によって、御影(みえい)堂(どう)において「宗祖日蓮大聖人御誕生会(しゆうそにちれんだいしようにんおだんじようえ)」が奉修されたのち、五重塔(ごじゆうのとう)のお扉(とびら)を開いて、御本尊さまに読経(どきよう)・唱題(しようだい)する「お塔開(とうびら)き」が行われます。この行事は、全世界、世の中すべての人を救うため、御本仏大聖人さまが末法の時代にご出現されたことを表しています。また、総本山大石寺の五重の塔が西向きに建てられているのは、インドから中国、朝鮮半島を通って、日本の西側の国から極東(きよくとう)と言われる日本へ伝わってきた仏法が、今度は日蓮大聖人さまが説かれた仏法が、西側の国へと弘まり世界中に弘まって、世の中の人たちを救い広宣流布していく意義を表しています。現在、日蓮正宗の教えは、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、オセアニアなど、全世界に弘まり、日本と同じように世界中にお寺があります。そして、色々な国々の人たちが皆、御本尊さまに南無妙法蓮華経のお題目を唱え、朝夕の勤行をされています。これからも、世界中に大聖人さまの教えはどんどん弘まっていくでしょう。

 皆さんも、ぜひ2月16日の『宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年慶祝記念法要』に参加して、大聖人さまの御聖誕800年をお祝いして感謝するとともに、大聖人さまの教えが世界中に弘まって、平和な世の中になり世の中すべての人たちが幸せになれるように、また立派な大人に成長して世の中の多くの人たちのお役に立てるように、そして新型コロナウイルスの感染が早く終わるよう、御本尊さまにお祈りしてもらいたいと思います。