御会式・布教講演⑦

 本日は、御会式奉修、誠におめでとうございます。仏祖三宝尊様御照覧のもと、このように盛大かつ厳粛に奉修され、皆様方一人ひとりが、華麗に彩られた桜によって荘厳された御宝前の御前にて、『立正安国論』正義顕揚七百五十年の大佳節に当たり、それぞれ日蓮大聖人様の立正安国の御精神を汲むべく、折伏誓願成就のお誓いをされたことと存じ上げます。
 さて、御住職様より何か話をするようにとの御命がございましたので、僭越ではございますが少々お時間を頂戴したいと思います。
 昨年、埼玉スーパーアリーナで行われました東日本決起大会に引き続き、本年七月二十六日、七万五千名大結集総会におきましても、○○寺様支部を始め、千葉布教区全支部が誓願目標を成就し、完全勝利するという誠に素晴らしい結果を成し遂げられました。是も偏に皆様方の日頃からの信心と、そのお徳によるものと深く拝するものでございます。誠におめでとうございました。
 更にその一ヶ月後、衆議院総選挙におきまして、公明党幹部議員の相次ぐ落選と十議席を失う惨敗、十年間に渡り日本を破壊してきた自公連立政権の崩壊、戦後の歴史を大きく変える自民党から民主党中心への政権交代は、あくまでも私の自論ではありますが、昨年来よりの全国法華講衆の並々ならぬ御命題成就への信仰活動の功徳による賜物ではないかと拝しております。
 更に、本年平成二十一年は丑年であり、明年は寅年であります。今から十一年前、平成十年の寅年、私が富士学林大学科四年生の時に、毎週御隠尊日顕上人猊下より『三大秘法義』の特別御講義を受けておりました時、御隠尊猊下は、「今年は寅年であるが、昨年から今年にかけての、この丑寅の刻(きざみ)は正に転機の時であり、陰から陽へと変わる、いわゆる全てものが明らかになり、尚かつ変わらなければならない時である」と御指南下さいました。
 この御指南を仰せになられました所以は、特別御講義の教科書の中にありまして、そのところを拝しますと「竜の口の御頸の座は、宗祖大聖人が前代未聞の法華経の行者として、何人も読むことの出来得なかった勧持品の身読の実証であり、又、身命を捨つる大事に於て法華経を行じたまう即身成仏の実証である。故に『開目抄』の「日蓮といゐし者は去年(いぬるとし)九月十二日子丑の時に頸はねられぬ。此は魂魄佐土の國にいたり云々」の文につき、本宗相伝の本義より拝せば、この魂魄とは久遠元初自受用身の神(たまし)いである。則ち子丑の刻とは凡夫の日蓮の頸はねられて、凡身日蓮の死の終りであり、続く寅の刻は久遠元初自受用の生の初めである。故に魂魄佐渡国に至ると示されたのである」と記されております。
 いわゆる宗祖日蓮大聖人様龍ノ口の法難には、上行菩薩の再誕凡夫日蓮の迹を払って、末法の御本仏、久遠元初自受用報身如来日蓮へと本地を開顕された発迹顕本の重々たる意義があり、その頚の座が正に丑寅の刻にあり、大聖人様御自身『上野殿御返事』に「三世の諸仏の成道は、ねうしのをはりとらのきざみの成道なり」と御教示されております。
 こうした龍ノ口の法難の発迹顕本の顛末が丑寅の刻に起こったことから、御隠尊上人猊下が先程申し上げました、丑年が陰、寅年が陽であり、その刻(きざみ)には陰から陽へと様々な物事が大きく変化する転機が訪れることについての御指南を下さった訳であります。
 それでは皆さん、今から十二年前の丑寅の刻(きざみ)、平成九年から十年におきまして、宗内に何事が起こったか、覚えていらっしゃる方はおられますか。
 まず平成九年十一月三十日には、平成三年十一月二十八日に宗門より破門されていた創価学会に属する、創価学会員の日蓮正宗信徒資格の喪失が通達されました。
 そして翌十年には現在の客殿が建立され、新客殿落慶十万人登山が行われたのであります。更に十万人登山の最終日の四月五日、本門戒壇の大御本尊様が正本堂より奉安殿へと御遷座され、正本堂の解体が始まった年であります。
 こうした重大な事柄が前回の丑年寅年の節目に行われました。
 そして本年平成二十一年、いよいよ丑年より明年寅年の節目に当たり、皆様方におかれましてはこの重々たる意義を深く拝し、世の中にあっても、また皆さん一人ひとりにおいても、一つの節目を迎える重要な年になってくると存じます。
 浄徳寺支部におきましては、最近三名の方に良性・悪性の腫瘍が見つかりましたが、いずれの方も早期発見により、入院・手術し、すでに無事完治しております。中でも一人の御婦人は、御両親と親子で信心している御主人の元に嫁がれて以来、入信はしたものの今まであまり信心に熱心ではなかったのでありますが、今年四月に生まれた御長男の妊娠により腫瘍が発見され、見つかった時には腫瘍箇所に問題があり、医者も多少難しい手術になるとの見解であったそうであります。しかし、それからというものの、奥様は積極的に記念支部総登山に参加されたり、度々浄徳寺にも参詣されるようになり、御長男を出産した半年後、いざ手術をされた結果、腫瘍箇所も医者が驚く程絶妙な場所にあり、手術自体も非常に短時間で終了したそうであります。今では俄然元気に浄徳寺に参詣されております。
 このような個々人の因縁果報が明らかになり、それを乗り越えるべき年になったり、その他、御自身の信心が試されるような機会に直面したりと、千差万別様々な転機になってくるであろうと思いますし、世情においても、今回政権交代がなされましたが、その他あらゆる面において、節目を迎えることになってくるのではないかと思われます。
 ですからこそ、皆様方におかれましては、「勝って兜の緒を締めよ」ではないですが、大結集総会の御命題を無事完遂した今、記念支部総登山と折伏誓願目標の完遂に向かって、三障四魔を打ち払い、いよいよ信心強盛に精進の誠を尽くして頂きたく存じます。
 特に、七万五千名大結集総会におきまして、御法主日如上人猊下は「宗門は、本年から数えて十二年後の平成三十三年に「宗祖日蓮大聖人御誕生八百年」を迎えます。そして、その中間に当たる六年後の平成二十七年には「第二祖日興上人の御誕生七百七十年」を迎えます。そのうち、まず日興上人の御誕生七百七十年の平成二十七年までに、全国のすべての法華講支部は、現在の講員数の五十㌫増を目指して、折伏実践の確実な歩みをもって仏祖三宝尊に御報恩感謝申し上げていくことが肝要であります。さらにその先、この確実な成果の上に立って、さらに折伏を重ね、平成三十三年、宗祖日蓮大聖人御誕生八百年までには、御誕生八百年にちなんで、法華講八十万人の体勢を築き、大法広布に資していきたいと思います」と、新たなる御命題を賜りました。
 今後、私達本宗僧俗は、今回の大総会の勝利とその感動をもって、僧俗一致異体同心して、この御命題達成へ向けて今まで以上に大きく前進して行かなければなりません。
 まず、その戦いの主体となるのが言うまでもなく折伏にあると、一人ひとりがしっかりと認識することが大事大切であります。
 今、世情を察すれば政権交代の目下で、五濁乱漫し、世界中あらゆるところでの大地震をはじめとする天変地夭の頻発、先日も大型台風が日本を縦断し、その上未だ出口の見えない経済不況と、人々のそもそもの資質、道義の退廃が顕著となってきております。
 この原因を糾せば、邪教と化した創価学会を始めとする邪義邪宗、謗法の害毒に他なりません。このことは、今から七百五十年前、既に大聖人様が『立正安国論』に認められております通りでありますが、今こそ私達はこの大聖人様の立正安国の御精神に則り、御遺命たる広宣流布大願成就へ向けて、蓋世の勇をもって折伏弘教に全力を傾注していかなけれななりません。
その戦いに必要不可欠なことについて、少々申し上げますと、大聖人様が『諸法実相抄』に「末法にして妙法蓮華経の五字を弘めん者は男女はきらふべからず、皆地涌の菩薩の出現に非ずんば唱へがたき題目なり。日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人三人百人と次第に唱へつたふるなり。未来も又しかるべし。是あに地涌の義に非ずや」と仰せでありますが、本日御参集の皆様全員が、この地涌の流類としての自覚をもって頂くことが肝要であります。
 要するに、皆様は過去からの因縁により、今生現世において、大聖人様の正法に縁することができたお徳は、実に計り知れない偉大なものであり、尚かつ皆さんは大聖人様仰せの如く、南無妙法蓮華経の大法を弘めるべくして日蓮正宗の信徒となったのであり、しかも皆さんの命の奥底には、折伏弘教に活躍するだけの力が必ず具わっていることを、お一人おひとりがしっかりと自覚して頂きたいと思います。
 あとはその力を開花、発揮させるだけであり、だれもがその気になれば、必ず広宣流布へのお役に立てる、立派な人材になれる資質を持ち合わせております。
 そして、その本懐を成就するには、御法主日如上人猊下の「日顕上人猊下は「一切を開く鍵は唱題行にある」とおっしゃっている。また「かぎりなく 境涯ひらく 題目を 常にとなえつ 広布目指さん」とも仰せです。ここに、日顕上人は題目を唱えて広布を目指せと、このようにおっしゃっているわけです。また、「一切を開く鍵は唱題行にある」とおっしゃっているわけですから、この原点に返って、我々自身がしっかりと唱題をしていく。一日三十分などというのではなくして、本当にしっかりと時間を決めて唱題行に励んでいく。必ずそこに御仏智に至るものがあると、このように私は考える次第であります」との御指南を、よくよく銘記されることが重要であります。
 大聖人様は『諸法実相抄』に「一閻浮提第一の御本尊を信じさせ給へ。あひかまへて、あひかまへて、信心つよく候ふて三仏の守護をかうむらせ給ふべし。行学の二道をはげみ候べし。行学たへなば仏法はあるべからず。我もいたし人をも教化候へ。行学は信心よりをこるべく候。力あらば一文一句なりともかたらせ給ふべし」と仰せであります。
 この有名な御文の御意をしっかりと拝受し、御本尊様への絶対なる確信と、広布大願への使命と責務を以て今後の戦いに、倦まず弛まず、勇猛果敢に精進して頂きたいと存じます。
 また、これからの法華講各支部五十㌫増と八十万人体勢実現への戦いにおいて、それが有名無実な実態のないものになってはならないのであり、全講員が寺院参詣・折伏・登山に参加できるような支部を構築する為にも、各支部綿密な組織を活かしての育成活動も大変重要になってくるのではないかと思います。折伏においてもそうでありますが、具体的実践の方途をしっかりと見出し、御住職様御指導のもと、講頭さん以下支部役員の方々が率先垂範してその責務を全うし、支部一丸となっての広布への戦いを行えるよう、どうか本日御参列されました皆様には、世情の悪化矯正と真の平和仏国土建設の為の、広布への遣い、戦士として、いよいよ御精進御健闘頂きたく思う次第であります。
 最後に、本年残り二ヶ月弱となった『正義顕揚の年』の、支部折伏目標誓願達成と記念総登山目標完遂の完全勝利に向かい、皆様方の更なる御精進と御健勝、○○寺支部の益々の御興隆御発展を心よりお祈り申し上げ、本日のお話とさせて頂きます。
 本日は誠におめでとうございました。