一如 7月号

住 職 よ り

 本年、早くも下半期を迎えましたが、緊急事態宣言や東京アラートが解除されたとはいえ、新型コロナウイルス感染症の終熄には至っておりません。特に、欧米各国の状況は惨憺たるものに対し、我が国は国民の日頃からの衛生習慣の賜物か、将又末法の御本仏宗祖日蓮大聖人様が御出現せられ、本因下種の妙法が建立された国である故か、未だに多少の感染者はいるものの、他国のような大規模な感染拡大には至っておりません。

 

 私たち日蓮正宗の僧俗は、大聖人様が「人の五根には鬼神入りて精気を奪ふ。是を疫病と名づく。一切の諸人善心無く多分は悪道に堕することひとへに悪知識の教を信ずる故なり」との疫病流行の原因を拝し、まずは自らが感染症の罹患しないよう、世情の悪風に其の身が流されぬよう、己の三毒煩悩によって一生成仏の道を違えぬよう、常に心に妙法流布の志を持って信行の実践に精進し、罪障消滅福徳増進して、今こそ御本尊様の御冥加と諸天善神の御加護を賜ることができるような御信心を心掛けて下さい。

 

 さて今般、妙眞寺信徒・藏本さおり氏の多大なる御尽力により、妙眞寺若葉会ホームページを開設致すことができ、誠に有り難く存ずる次第であります。内容については閲覧頂ければと存じますが、特に急を要する寺院からのお知らせを、即時に全檀信徒の皆様にお伝えすることは困難と存じます。ですので、例えばこうした疫病対策、寺院における突発的事象における動向やお知らせ、台風、大地震等の自然災害対策などについての連絡は、当ホームページに掲載致しますので、その時々に確認して頂きたく存じます。

 

 いよいよ明年二月十六日、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節まで七ヶ月となりました。今、世間では何かと自粛制限によって、不便極まりない状況になっておりますが、こうした時こそ私たちは信行の実践に励む時であることを銘記し、「人身は受けがたし、爪の上の土。人身は持ちがたし、草の上の露。百二十まで持ちて名をくたして死せんよりは、生きて一日なりとも名をあげん事こそ大切なれ」、「命限り有り、惜しむべからず。遂に願ふべきは仏国なり」との大聖人様の御聖訓を身心深く刻み込み、世間に吹き荒ぶ様々な悪風を堪え忍び、功徳利益に満ち溢れ、自ずと広布への行業を為し遂げることができるよう、愈々皆様が充実した日々を送り、有意義且つ尊い人生を全うできますよう心よりお祈り申し上げます。

 

御法主日如上人猊下御言葉

 大聖人様は『中務左衛門尉殿御返事』のなかで、疫病について御指南あそばされております。今、解りやすく、口語体にして申しますと、「今の日本国に、去年から今年にかけて流行している疫病は、四大、すなわち地・水・火・風の不順によって起こる四百四病ではないから、たとえ名医である華陀や扁鵲の治療を受けても治るものでもない。また、小乗教や権大乗教の教えをもって治るような軽いものでもない。故に、諸宗の者達がいかに祈っても、その甲斐はない。否、かえって重くなるだけである。また、たとえ今年は一時止むとしても、年々に募って、最後に一大事が起こってのちに、初めて治まるのかも知れない。法華経の譬喩品には、病の根源を知らずして、その病を治療すれば危険なることを説いて、『もし、医術に依って病を治療すれば、他の病を併発し、もしくは病気の勢いを増し、もしくは死に至るであろう』とある。また涅槃経には『王舎城の阿闍世王が皮膚病にかかった時も、それは心から起こった病気であって、単なる肉体的な病気ではないから、医薬をもって治療しても、けっして治る道理がない』と説かれている。そこで妙楽大師も涌出品の『文句記』に『智者はその起因を知り、蛇は自ら蛇を知る』と言われている。今の疫病は、かの阿闍世王の皮膚病のようなものである。かの阿闍世王の皮膚病が釈尊でなければ治らなかったように、今の疫病は単なる肉体的疾患ではなくして、謗法に起因するのであるから、その疫病を除くのは法華経でなければ治すことはできない」と仰せられています。

 

 まさに、猛威を振るった疫病も、根本的には法華経、すなわち本門寿量品文底下種の南無妙法蓮華経の良薬でなければ治することはできないと仰せられているのであります。
 されば、『太田入道殿御返事』には、「平等大慧妙法蓮華経の第七に云はく『此の経は則ち為れ閻浮提の人の病の良薬なり。若し人病有らんに、是の経を聞くことを得ば病則ち消滅して不老不死ならん』云云」と、妙法の広大なる功徳について、かくの如く仰せられているのであります。

 

 今、日本をはじめ世界に蔓延している新型コロナウイルス感染症も、根本的にはこの御教示の通り、妙法蓮華経の大良薬をもって治することが肝要であることを知るべきであります。

六月度 広布唱題会の砌
             令和二年六月七日 於 総本山客殿