目標をたてよう (平成30年5月)

新年度が始まって1ヶ月がたちました。皆さんは何か新しい目標を立てて、元気にスタートできましたか?

『後漢書(ごかんじょ)』という中国の古い書物に、「志ある者は事ついに成る」という言葉があります。

これは、自分の目標に向かって固い決意をもって進む人は、たとえ困難にぶつかっても、必ず事を成し遂げることができる、という意味の言葉です。

皆さんも、新しい学年が始まった今、目標をたててそれに向かって力強く進んで下さい。

 

さて、『目標』と似ている言葉に『目的』があります。この2つはどう違うのでしょうか?

目標と目的は、どちらも「実現しようと目指すもの」です。ただし、

目的とは、最終的に到達することを目指すものであり、目標とは、その目的に向かって進むなかで、段々と達成を目指す「目印」「道しるべ」のようなものだと言えます。

 

例えば皆さんが、とても遠い所へ歩いて行こうと決意したとします。

「目的」の地に到着するまでには、険しい道や長い上り坂など、様々な道があるでしょう。

これらを乗り越えていくために、「まずは、あそこまで行こう」、「次はあそこまで歩こう」と、そのつど目印を作って、その目印に到着したら、次の目印に向かう、というように、目的地に向かう途中で決める道しるべを目標というのです。

私たちは、このように目標を目指して進むことによって、最終的に目的地に向かって努力を続けていくことができるのです。

 

それでは、私たちの「人生の目的」とは、いったい何でしょうか?

仏教では、人が生きる目的は、最高の幸せを得ることであると教えられています。

幸せといっても、経済的に豊かであること、スポーツや勉学等、様々な分野で活躍すること、健康で長生きをすることなど、何をもって幸せだと思うかは、人によって異なるでしょう。

これらは、たしかに豊かな人生を歩む上で大切なことです。

しかし、これらを手に入れた人は必ずしも幸せになれる、というわけではありません。

お金持ちでも孤独な人、活躍をしたあとに悪い事をしてしまう人、心に不安をもったまま長生きする人などは、決して幸せな人とは言えないからです。

 

 

仏さまが教えられている幸せとは、どんなことが起こっても崩れない絶対的な幸福です。

この幸福を「成仏(じょうぶつ)」といいます。

成仏とは、自分の心の奥底に具わっている仏さまの命を顕(あらわ)して、何事にも負けない、何にも振り回されることのない自分になって、生き生きと毎日の生活を送る姿をいいます。

 

私たちは、日々の生活のなかで、小さなことで怒ったり、不安になったり、心が不安定になってしまうものです。

しかし、仏さまがいう「成仏」の命を開くことができれば、どのようなことにも振り回されなくなり、常に不安のない、穏やかな心で生きることができるようになります。

 

日蓮大聖人さまは、「南無妙法蓮華経の七字こそ、私たちが成仏するための種なのである」と教えられています。

つまり、南無妙法蓮華経は成仏する為の種であり、私たちは御本尊さまを信じて、真剣にお題目を唱えていけば、必ず成仏の命になることができる、ということです。

 

また、大聖人さまは
「人生の終わりまで、いよいよ信心に励んでいきなさい。そうしなければ、きっと後悔することになるでしょう。

例えば、鎌倉から教徒へ行く12日間の道のりを、11日間歩いてあと1日という所で歩くのをやまてしまったら、京の都の空に輝く美しい月を見ることはできない。

これと同じように、最後まで信心をしていかなければ成仏はできないのだから、なんとしても正しい仏法を知る僧侶のもとに近づき、教えを聞いて信心の歩みを運んでいきなさい」と言われています。

このように、学校の勉強や部活、習い事も大事なことですが、毎日の朝夕の勤行、唱題を行って正しい信心修行の道を、一歩一歩進んでいけば、そうした学校や習い事もうまく進んでいくことができるようになります。

また、何か悩むことや困ることがおきても、御本尊さまにしっかりお題目を唱えていけば、必ず解決することができます。

 

いま、皆さんは小学校の勉強や習い事をして、中学校に進み、高校や大学に通ったり、その後、お父さんやお母さんのように仕事をするようになるでしょう。

そうした中で大事なことは、立派な大人、心優しく思いやりのある人になることが大切です。

そして、大聖人さまの信心を行って、長いようで短い人生を送ることによって、大切な毎日の時間を過ごし、有意義な日々を送ることができるのです。

 

今は、お父さんやお母さんに守られて、病気になったり何か困ったことがあったら、看病してもらったり相談することができるでしょう。

しかし、やがてお父さんやお母さんのもとをはなれて、自分で生活をしていかなけれないけない日がきます。

そして、何事も自分自身ですべてをしていかなければならなくなった時、不安になったり悩むこともでてくるでしょう。

だからこそ、今から信心修行を根本に、光輝く未来と幸福を築くためにも、何事にも負けない強い心をもち、すべてを御本尊さまが正しい道に進ませて頂けることを強く信じて、頑張っていきましょう。

そして、立派な大人に成長して、皆さんの周りに誰か困っている人がいたならば、大聖人さまの南無妙法蓮華経の教えを信じていけば、必ず解決できるようと言えるようになりましょう。