因果応報(平成30年7月)

皆さんは、「今日、お菓子を買ってもらった。やったぁラッキー!今日は運が良いなぁ」、「学校の廊下を走っていたら、先生とぶつかって怒られちゃった。運が悪かったなぁ」というように、自分が体験したことを、運が良かった・運が悪かったと考えたことはありませんか?

このように「運が良い、悪い」と言う時の「運」とは、いったい何なのでしょうか?

また、このことは、偶然おこったことで、自分の力では変えることのできないことなのでしょうか?

 

「運」ということについて、辞書には、「幸・不幸などをもたらし、状況を動かしていく、人の力ではどうすることもできない作用。巡り合わせ。運命」と書かれています。

また、他の辞書には、「天命。めぐってくる吉凶の現象。幸、不幸、世の中の動きなどを支配する、人智、人力の及ばないなりゆき」などと書かれています。

 

このように、「運」とは運命、天命とも言われ、自分の意思や能力に関係なく、良いことや悪いことが起こると感じることから、人の考え方や力が及ばない、幸せや不幸をもたらす作用のことであると考えられています。

しかし、自分の能力や努力に関係なく、毎日の人生の幸・不幸が決まっているとすれば、「人生はすべて運命で決まっているのだから、何をしても仕方が無い」ということになってしまいます。

また、このような「運命」を信じて「悪い結果が出るのは運が悪いからだ。運が良ければ、悪い事をしてもかまわないのだ」などという自分勝手な考えをもつ人も、世の中には多くいるようです。

それでは、本当に私たちの幸・不幸は運命で決まっていて、決して変えることはできないのでしょうか?

 

日蓮大聖人さまは、「運が尽きてしまうと、どのような兵法(戦術や武術)も役に立たなくなる。果報(過去の善い行いによる善い結果)が尽きたならば、家来や家族であっても従わなくなってしまうものである」とおおせられ、運がつき、過去世の善い行いによる善い果報が尽きれば、すべてが悪い方向に進んでしまうことを教えられています。

 

仏法では、私たちが善い行い(善業)を積めば善い結果を招き、悪い行い(悪業)を積めば悪い結果を招くと教えられています。

これを因果応報(いんがおうほう)、善因善果(ぜんいぜんか)・悪因悪果(あくいんあっか)などといいます。

つまり、私たちの人生で起こる幸・不幸のできごとは、自分の過去世において自分が積み重ねてきた行為の結果であると説かれています。

この因果の道理から考えると、過去世で悪い行為を積んでしまった人は、現在の人生で悪い結果を受けることになります。

たしかに自分で招いた結果ですから、自業自得(じごうじとく)ではありますが、悪い行為による悪い結果を変えることは、絶対にできないのでしょうか?

 

 

大聖人さまは、「強い信心を奮い起こしてこの御本尊に祈っていきなさい。そうすれば、かなわない願いなどないのである」と仰せられ、また「過去世の行いによってその報いを受けることが決まっている定業(じょうごう)であっても、よくよく反省し、御本尊に対して真剣に祈っていけば、必ず消滅させることができる」と教えられています。

 

私たちが過去世に積んできた善悪の業(善悪の行為)を宿業(しゅくごう)といい、その果報を受けることがすでに決まっている業を定業といいます。

ようするに、過去に悪業を積み重ね、現世でその苦しみの報いをうけることが決まっている人であっても、御本尊さまを信じて真剣にお題目を唱えていけば、その罪障を(悪い結果を生む原因)を消滅して、幸せな人生に変えていくことができるのです。

ですから、「運」ということについて、仏法では「福運・悪運」と説かれ、それは皆さんの過去世の人生での行為の結果と、今まで生きてきた中での様々な善悪の行為が原因となり、それが福運・悪運となって、その結果として、その報いを受けるわけですが、例えば悪い行いが多く、悪運を積んで悪い結果を受けるような人でも、反省して真剣に御本尊さまにお題目を唱えて信心を励んでいけば、必ず悪い果報を消滅させ、逆に善い果報へと変えることが出来るのです。

しかし、この大事なことを、世の中の多くの人は知りません。

ですから、自分自身は当然のこと、特に悩んだり困ったりしている人が身近にいたら、進んで日蓮大聖人さまの教えを信じて、御本尊さまにお題目を唱えていけば、必ず良い方向に変えていくことができることを教えてあげましょう。

 

いま、日本では大阪で大きな地震が起きたり、西日本では大雨が降って、沢山の人が家を失ったり、亡くなったりしています。

こうしたことも、大変かわいそうな出来事ですが、一人ひとりの過去世からの結果の報いであり、日本全体で自然災害が起こっていることは、日本に間違った教えが沢山弘まってしまっている結果であります。

皆さんは、このことをよくよく理解して、自分自身のこれからの人生は、善くも悪くも自分自身で変えていくことができることを知って、朝晩の勤行や唱題をしっかり行って、幸せな毎日を送り、勉強もしっかりと頑張って、すばらしい人生を送ることができるようにしましょう。

また、何か悩み事や困ることがあったならば、その時こそ真剣に御本尊さまにお題目を唱え、解決することができるように頑張って下さい。