「変わるもの」と「変わらないもの」(平成30年2月)

【変わるもの】 

『平家物語』に、「祇園精舎の鐘のこゑ、諸行無常のひびきあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす(祇園精舎の鐘の音には、あらゆるものは移り変わり、永遠の存在はないと感じさせる響きがある。

また沙羅双樹の花の色は、栄えている者も必ずいつかは衰えるという真理を表している)」という、有名の言葉があります。

 

この言葉のように、昔から世の中は常に移り変わっていくものだと言われてきました。
現在の世の中も、日々、めまぐるしく変化しています。

日本では、来年にも「平成」に代わる新たな元号の時代となりますし、またインターネットをはじめ、様々な分野であらゆる技術が進歩し、テレビやパソコン、ゲーム機、冷蔵庫、洗濯機など、家電製品の新商品が毎年開発されています。

スポーツの世界でも、常に優勝し続けるチームはありませんし、優秀な選手でも、ケガをしたり年齢によって選手生活を終える時が必ずきます。

芸能人でも、急に有名になり、毎日のようにテレビに出ていると思うと、いつの間にかあの人最近テレビに出なくなったなぁという人もいますね。

また人の体も常に変化しています。
母親から産まれた時は小さな体であっても、栄養をとることで、だんだんと体も大きくなっていきます。

このように大人の体になっていくことを「成長」といい、大人になったのち、だんだん体力や記憶力等が衰えていく変化を「老化」といいます。

短い時間では気付きませんが、たとえば1週間、1ヶ月たつと、髪の毛や手の爪が伸びていることがわかりますね。

あるお医者さんは、「私たちの体は、骨も血液も内臓も、細胞が日々少しづつ入れ替わっています。見方を変えれば、何年かの周期で、新しい自分に生まれ変わろうと考えることもできる」と言っています。

私たちの体は、知らない間に変化し続けています。

 

【変わらないもの】 

このように見てくると、世の中は変わらないものなど存在しないのではないかと思えます。
しかし、いつの時代も、人は生まれると同時に、必ず年を取り、病気になり、死を迎えます。

また、「愛する人との別れ」、「ほしいものが手に入らない」等の苦しみも、誰もがだいたい経験するものです。

このように、人の持つ根本的な苦しみのの解決方法や、正しい人生の生き方を教えてくれるのが、正しい仏教の教えです。

正しい宗教は、いつの時代も、どの国に住む人であっても、あらゆる人の苦しみの原因を明らかにして、それを解決して幸せになるための、長い年月がたっても、決して変わることの無い真理を説いてくれています。

 

 

【常住不変の大御本尊様と信行の実践】 

したがって、私たちが何かしらの宗教への信仰を持つ時には、時が経っても常に変わらない真理、教え、御本尊さまを信じる宗教でなければいけません。

 

仏教では、五千巻とも、七千巻とも言われるお経典があり、八万法蔵というぼう大な数の教えがあります。
そのなかで、日蓮大聖人さまは今から約800年前、鎌倉時代の貞応元年(1222)2月16日、千葉の小湊という村にお生まれになり、僧侶となって勉学や修行に励み、最も勝れた法華経に秘められた「南無妙法蓮華経」を説き弘められました。

そして、私たちが御本尊さまとして拝むべき、「本門戒壇の大御本尊さま」を顕されました。

その御本尊さまは現在、総本山大石寺の奉安堂におまつりされています。

この大御本尊さまこそ、時代や国を超え、すべての人を幸せにしてくださる常住不変の御本尊さまなのです。

大聖人さまは、世の中の多くの宗教は御本尊が間違っているから、決して幸せになれないし、悩みや苦しみから逃れられないし、間違った御本尊やそうした宗教を信じると、幸せになるどころか、逆に不幸になってしまうと言われています。

 

私たちは、この大御本尊さまを信じて、身口意の三業にわたって、修行を実践することが大切です。
三業とは、身業(行動)、口業(言動)、意業(心に思うこと)の3つを言います。

たとえ心で信じているといっても、朝晩の勤行や唱題をしていかなければ、御本尊さまから、幸せになるためのもとである功徳を頂くことはできません。

しっかりと信行の実践に励んでこそ、願いや祈りがかない、イヤなことも解決し、幸せな人生を送ることができるのです。

 

その実践の結果について、大聖人さまは、
「煩悩・業・苦の三道を、法身・般若・解脱の三徳へと転換することができる」と仰せられています。

このなかの「煩悩」とは、貪り・瞋り・癡かの三毒をはじめとする人々のあらゆる迷いの心をいいます。

「業」とは、迷いの心を元に行動すること。「苦」とは煩悩や業によって苦しむことをいいます。
この御文について、御法主日如上人猊下さまは、

 

「法身と申しますのは、これは読んで字の如く法でありますから、不変そしてまた永遠であります。
つまり信心堅固に泰然とした境界に立つこと、それが法身ということになる。

般若というのは智慧でありますから、どのようなときでも、つまり苦しいときでも、困ったときでも、この妙法蓮華経の功徳によって、それこそ計り知れない智慧が涌いてくる。

解脱というのは、これは言うならば煩悩の束縛から逃れること。

つまり、妙法蓮華経を唱えることによって、この煩悩・業・苦の三道を、法身・般若・解脱の三徳に転じていくことができるのであります。

そして私達にとって大事なことは、これをおのれ一人だけのものにするのではなくして、世のため人のために妙法の偉大なる功徳を説き、そして共に幸せになっていく、さらに仏国土を築いていくということが肝要であります」


と御指南されています。

 

この御指南のとおり、皆さんは大御本尊さまを信じて真剣に勤行・唱題を実践し、三徳を具える人に成長して下さい。

そして、その素晴らしい大聖人さまの教えを多くの人に教えてあげることができるようになりましょう。

世の中がどのように変わっても、これが、私たちの変わることのない大切な仏道修行なのです。
今年1年、頑張っていきましょう。